中国がエル・サルバドルに軍事基地設置をするのではと、アメリカが懸念している

焦る米国の理由は、反米主義政党

 マネス大使が言及している地域というのは、ラ・ウニオン県のことで、それに面している港が中国の軍事基地になるのではないかと懸念されているのである。この港はフォンセカ湾にあり、そこはエル・サルバドル、ホンジュラス、ニカラグアと3か国の国境区域でもある。  即ち、戦略的に見ればフォンセカ湾のエル・サルバドルの港に中国が軍事基地を建設するようになれば、それは同時にホンジュラスとニカラグアを牽制できることになる。  中国がこの地域を支配するようになるのではないかという懸念を米国がより一層強く抱いている背景には、ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)が政権を担っているということがある。この政党は現在のニカラグアの反米左派ダニエル・オルテガから支援を受けていた政党で、反米主義政党である。  米国の不安に対し、FMLNのニディア・ディアス議員は「米国はホンジュラスに米空軍基地を持ち、エル・サルバドルにも麻薬密売業者をコントロールするレーダーによるモニターシステムを配置している」、「米国はラテンアメリカ全域に渡って軍事基地を持っている」として、米国はエル・サルバドルに不安を抱く必要はないと指摘している。(参照:「ABC」)  また、野党である右派の国民共和同盟(ARENA)の議員マウリシオ・バルガスは、ラ・ウニオン港について、 「あそこにあるのは中期そして長期的に見た地政学的な関心である。中国の目的は、米国の安全保障地域を干渉することである」  と言明しつつも、 「商業的使用から軍事的使用に移すことは法的に容易ではない」  とも指摘している。
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