本質的な失敗点 - なぜYahoo! が失敗したのか
しかし、これらのことは、本質的には失敗の原因ではないのかもしれません。
本質な問題は、多くの人が、検索エンジンの重要性と、その成長ポテンシャルを見誤っていたことにあります。
投資家で Y Combinator の創業者、Yahoo! の元従業員であるポール・グラハムによると、彼は90年代後半に、Googleを買収するべきだと創業者のデビッド・ファイロにアドバイスしたそうです。(参照:「
What Happened to Yahoo」via Paul Graham.com)
“1998年後半か、1999年初めにデビッド・ファイロにGoogleを買うべきだと言ったはずです。私も、他のほとんどのプログラマーも、GoogleをYahoo!検索の代わりに使っていました。”
それに対して、Yahoo!創業者のファイロはこう答えたそうです。
“検索は我々のトラフィックのたった6%だ。そして、我々は月に10%ずつ成長している。そんなこと、心配する必要はないよ。”
同じようなストーリーを、InktomiのエンジニアであったDiego Baschも語っています。(参照:「
A Relevant Tale: How Google Killed Inktomi」via Diego Basch’s Blog)
“大きな危険信号が鳴り響いていました。Inktomiのエンジニアは、検索エンジンとしてGoogleを使い始めていました。
私たちの幹部は、(ビル・ゲイツが子供たちにApple製品を使用することを禁止したように)、エンジニアがGoogleを使うのを、やめさせようとしました。なぜ自分がGoogleを使っているのだろう? と考えれば、答えは明らかでした。ユーザー体験が優れていたからです。”
結局のところ、誰も検索エンジンがこれほど大きなビジネスになるとは信じていませんでした。稀代の起業家であるデビッド・ファイロはもちろんのこと、おそらくは、ラリーとサーゲイさえも。
後から見れば、危険信号は明白でした。炭鉱のカナリアは息絶えていました。しかし、それはあとになったから言えることだからでしょう。
<文/遠藤結万 Twitter ID:
@yumaendo photo by
Shawn Collins via flickr (CC BY 2.0)>
えんどう・ゆうま●早稲田大学卒業後、グーグル株式会社(現グーグル合同会社)に入社。中小企業向けセールスとアジア太平洋地域の分析を担当。退社後、スパーク株式会社を設立し、インハウス化やマーケティング戦略支援、マーケティング教育などを手がける。デジタルマーケティングについてのブログ「
エッセンシャル・デジタル・マーケティング」を運営中