退職後の株投資で大損こいた元日経新聞記者が辿り着いた「ほどほどの利益を得る」投資術

taa / PIXTA(ピクスタ)

証券会社の営業マンに頼るのではなく、自分の意思で自由に売買したい

 ITバブルの見通しを誤り、大損害を被った後、しばらく私は株の世界と縁切りをしました(参照:「退職した日経新聞記者が自信満々で株式投資に挑んだら500万円の大損をした理由」)。新聞などが時折「ネット株取引が個人投資家の間で人気を呼んでいる」などの記事を目にしても、自分とは縁のない世界のものと思っていました。  ある日、株好きの友人とランチをしました。 「ネット株を始めたが、実に面白い。パソコンに向き合い、自分の好み、判断で自在に銘柄を選んで、自分の意志で自由に売買できる。購入金額も少なくて済み、実に楽しい。こんな時代がくるとは思ってもみなかった」とその友人は言うのです。これまで多くの個人投資家は証券会社の店頭で、営業マンに値上がりしそうな銘柄を聞き、他力本願で株を購入してきました。購入金額も多かったため、結果として大損害を被ってきたように思います。株は自分には無縁と思っていましたが、改めて「ネット株」について興味を抱き、ネット株取引のABCから勉強してみようと思うようになりました。

ネット株取引を利用すれば、リスクを抑えた株投資ができると直感

 いろいろ調べているうちに、一つの直感が突然ひらめきました。株の世界は「ハイリスク、ハイリターン」が常識の世界です。ネット株時代に入っても、この構図は変わりません。その気になれば、一段と「ハイリスク、ハイリターン」への挑戦が可能になります。  だが待てよ。ネット株時代に入ったことで、これまで不可能だと思われていた「リスクを低く抑え、その代わりに最大リターンを目指すのではなく、ほどほどの利益が得られる」、そんな新しい投資方法の道が拓けるのではないかとひらめいたわけです。  具体的には、株取引に付随するハイリスク要因をできるだけ封印し、石橋をたたいて渡るような用心深さで株を運用する。その結果1割程度の利益が得られれば、「御の字」ではないか。  もしこの方法が可能なら、預貯金金利実質ゼロに縛られている多くの消費者が金融資産の一部を株に振り向け、それなりの利益が得られることになります。今の日本では、家計の金融資産の約半分(930兆円)は預貯金として保有されています。株式などの保有は約1割に過ぎません。金利ゼロ時代にもかかわらず、多くの消費者が預貯金として保有するのは、リスクの高い株で運用するのが怖いからです。  これから高齢化社会はさらにどんどん進みます。退職者の多くは一生懸命に働いて手にした大切な退職金を安心、安全な方法で保有したいと願っています。リスクの高い株などは怖くてとても投資の対象に回す勇気がありません。金利ゼロでも仕方がない。元金が保証されている預貯金として保有すれば少なくとも現状は維持できます。 「ハイリスク、ハイリターン」に代って、「低リスク、ほどほどの利益」に目標を切り替えれば、ネット株取引の登場がその願いをかなえてくれる、ネット株革命の本質は実はそこにあるのではないか。私の直感は次第に確信に近いものに変わってきました。
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