世界最大の機関投資家GPIFはすでに1兆円のESG投資枠を設けているが、GPIF理事長は日本株の1割を目安として挙げており、3兆円超の年金資金が流入しそう。
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「ESG」を重視した企業にGPIFの巨額マネーが流入。後発のESG銘柄を狙え
世界最大の機関投資家として知られる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が大きく動き出しそうだ。巨額の年金資金が向かう先は「ESG」。
「ESGとは『環境』『社会貢献』『企業統治』の英頭文字で、GPIFはこれらを重視した運用を強化する見通しです」と話すのは、株式ジャーナリストの大神田貴文氏だ。
「ESG投資は年金運用機関や投資会社が銘柄を選ぶ際、利益や配当だけでなく、社会貢献の度合いや情報開示体制などを重視する手法です。欧州の年金基金が先行して採用し、世界では全運用資産の3割に相当する2500兆円の投資マネーがESG投資で運用されています」
「GPIFはすでに日本株の保有額の3%に相当する1兆円のESG投資枠を設けています。しかし、ESG投資の旗振り役でGPIFの運用の最高指揮官役の水野弘道理事は記者会見などで『1兆円では足りない』と述べ、増額に意欲的。高橋則広GPIF理事長も日本株の1割をESG投資枠の目安として挙げており、単純計算でこれから3倍超に拡大することになります」
企業年金など民間マネーも公的年金に追随しており、兆円単位の資金がESG銘柄に流入しそうだ。
「GPIFは昨年、ESG投資用の株価指数として『MSCIジャパンセレクトリーダーズ指数』など200銘柄程度からなる3つの株価指数を選定しました。株式市場では、この指数の構成株をESG投資のコア銘柄とみなしています。ただ、個人投資家目線では、いわゆる“優良会社”や、評価ポイントが本業に直接的な関係がない環境保全やボランティア活動といった企業は敬遠したい」
では、どんなESG銘柄が狙い目か。
「最近になってESG株として注目されるようになった銘柄がいい。株高が期待できるのは、『女性活躍』のキーワードに合致する企業。労働人口減少が止まらない日本で、男ばかりの会社はいずれ人材確保が危うくなります。しかし、女性の幹部登用に抵抗のない企業なら、人材不足の影響は男ばかりのライバル社に比べ軽く、成長のチャンスを逃さずに済むためです」
ほかにも、企業不祥事の影響で機関投資家の企業監視の目は厳しくなるばかり。情報開示の手間を惜しまない企業ほど、機関投資家マネーを呼び込みやすくなりそうだ。