セネガル戦でまたも「旭日旗」。日本代表を応援するのに旭日旗を出すべきではないこれだけの理由

なぜ旭日旗は差別思想なのか―大東亜共栄圏と旭日旗

 FIFA(国際サッカー連盟)は、スポーツの場としてのスタジアムから、政治的論争となるようなものや、差別的な思想に関するシンボルを徹底的に排除している。差別のない世界という理念をサッカーを通じて広げていくことも明確に宣言してきた。そのFIFAの外郭団体のNGOに「FARE(Football Against Racism in Europe)」がある。サッカーにおける人種差別を根絶するという目的のために活動するこの団体が発行する、差別的なシンボルのガイドラインの最新版には、スタジアムで禁止されるべき標章として旭日旗が加わっている。そこの旭日旗に関する説明は以下のとおりだ。 「旭日旗 ―1945年まで日本帝国海軍と帝国陸軍によって公式に使用されたもので、第二次世界大戦の日本の軍国主義と植民地主義を象徴し、差別的なものとみなされる。特に韓国・北朝鮮・中国や、戦争の影響を受けた他の国々の人に、そのような受け取られている。現在では、公式に日本の海上自衛隊や広告などにも使われていることもあるが、かつての日本軍の行いに影響を受けた国々では差別的なシンボルと考えられている」(参照: “Global guide to discriminatory practices in football”  私は最初、旭日旗が「差別的」なものという意味が今一つ腑に落ちなかった。政治的であるとか、軍国主義的である、というならばわかる。しかし、「差別的」とはいったいどういうことなのか。  これは、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、インドネシアといった国に、改めて旭日旗はどのように受け取られているかを見ていくうちにだんだんとわかってきた。それは大東亜共栄圏というものの実際がどうだったのかということと深く関係がある。  アジアの解放を理念としたはずの大東亜共栄圏とは、実際は「天皇」という宗教をもとに、日本人が遅れた未開の人たちを指導していくというものだったのだ。そのために日本軍は、東南アジア中で現地の人たちを些細なことで平手打ちにし、軍人には日本式のお辞儀を強要した。タイでは社会的に地位の高い僧侶を殴り倒し、フィリピンではキリスト教の神父をスパイ扱いして虐殺し、インドネシアではタブーである頭を平気で触った。強制的に日本語教育と天皇崇拝が押し付けられ、それに反抗したものは即座に憲兵に拘留された。現地の政府は、日本軍によって傀儡政権となり、そこでは日本軍人が言うことが最優先された。そうした日本人の中には、本当にアジアの民族のためと志をもって、現地で軍政を行ったものもいた。しかし、そのような人たちは、むしろ大方の日本人がいかに現地の人たちをないがしろにしたことを憤慨していくことになった。彼らの声は現地民を「土人」扱いしていく日本人の中ではかき消されることなった。  こうして大東亜共栄圏が日本人の選民思想だととられても仕方ないことを日本はしてきたわけである。これが旭日旗が「差別的」とされる理由なのである。
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国際試合で旭日旗が出るリスク
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