エルドアンがトルコの大統領に再選。しかし、内政・外交ともに楽観視できない状況

白石和幸

photo by Musa-Kose via pixabay(CC0 Public Domain)

 6月24日に行われたトルコの大統領と議会選挙で、現職のエルドアン大統領が再選され、彼の公正発展党(AKP)は過半数の議席は失ったものの、選挙前に同盟関係を結んだ民主主義行動党(MHP)の議席を合わせて過半数を維持した。

 接戦が期待された共和人民党(CHP)の大統領候補インジェの票に伸びがなく、開票率99.65%の段階で獲得票数パーセンテージはエルドアン52.58%に対しインジェは30.64%であった。

権限が増大したエルドアン体制

 トルコ国民の61%は投票に不正があると考えていたようであるが、インジェ候補が指摘しているように、「票が盗まれたかと言えば、そうだ。しかし、1000万票が盗まれたかといえば、そうではない」と言って、彼はあっさり敗戦を認めた。

 例えば、2017年4月の大統領権限強化を問う国民投票では250万票が賛成票として水増しされた可能性があるとヨーロッパの監視団は疑っていたという。(参照:「El Medio」、「El Pais」)

 また今回の選挙では、これまでエルドアン体制によって弾圧されて来たクルド人の国民民主主義党(HDP)が定員600議席の1割に当たる67議席を獲得して政界に復帰した。2015年の総選挙で初めて議席を獲得したが、その後エルドアン体制の政治的工作によって彼らの議員としての不逮捕特権が剥奪されて、過激派クルド労働者党(PKK)と関係しているとして党首のデミルタスを始め当時の議員が収監されて既に20か月が経過している中での話である。

 2016年から、エルドアン体制によるHDPへの干渉は厳しく、同党が政権を担っていた83の自治体に政府は介入し、結局89人の首長及び9人の国会議員が同年秋から収監されている。そのような厳しい条件下での今回の議席の獲得なのである。(参照:「El Pais」)

 しかし、エルドアン体制が揺らいだわけではない。なにしろ、今期から大統領選挙で選ばれた大統領には首相のポストも務めることになり、大統領勅令も出すことも可能となり、大統領の権限が増大したのである。任期は5年で二期務めることが可能になったのだ。

 2023年のトルコ建国100周年を大統領として祝うというのがエルドアンの長年の悲願である。それが今回の選挙で確実なものになったわけだ。

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エルドアンが抱える不安要素は?

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