シアトル・タコマ国際空港への新規就航が見込まれるJAL。控えめな業績予想をする傾向がある
「年度途中で業績予想を上方修正する会社には、パターンがあります。一つは、いつも保守的な予想を出してくる企業です」(同)
株主重視の株価対策が求められる昨今、強気予想を出して、あとから下方修正するのは株主から批判が殺到し許されない。一時的には株価が軟調になる局面もあるが、堅実な企業ほど控えめな業績予想を出し、あとから上方修正を繰り返す傾向がある。
「京王電鉄は、ほぼ毎年のように業績が期初見通しを上回っています。鉄道を柱に沿線の百貨店・スーパーなど小売業を展開し、良くも悪くも業績変化の少ない地味な業態で、社風は堅実そのもの。最近はホテル事業に進出するなど成長重視に舵を切っており、今期も会社計画比でプラスの利益が見込まれます」
また、日本株市場では為替が企業業績に与える影響は大きい。大神田氏は、「想定為替レートを保守的に見積もる企業も上方修正の常連」と続ける。
「三菱電機は今期、ライバルの日立製作所よりもドル、ユーロともに5円の円高を前提に業績予想を算出しました。東芝が事実上解体されて競争の列から脱落しただけに、総合電機最強の収益力となった三菱電機株に機関投資家マネーが集中し、株価は一段と上がりやすくなりそうです」
ワケありなのは日本航空(JAL)。経営破綻から政府の指導下で再上場を果たし、実は業績は絶好調なのだ。
「’17年度は経営破綻前も含めて初めて、年3回もボーナスを支給したほど。決算発表でも、記者が『最高益更新ですか?』と質問してようやく認めるなど、とにかく好業績を隠したがります。5月に示された今期業績見通しでは、かなり控えめな為替レートを想定していますが、搭乗客数も搭乗率も高水準で推移し今期も最高益更新が有望視されています」(同)
さらに’19年には北米西海岸の新規都市への就航が予定されていて、株価には追い風だ。現在、北米西海岸に就航しているのは、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンディエゴの3都市。これ以外で渡航需要があるシアトルが新たな路線になると見られている。
人気ブロガーで億り人のまつのすけ氏は「会社予想を上回る好業績企業にも注目したい」と話す。
「シーティーエスは、建設現場の作業員、技術者をITやIoTを使って支援する建設ICTの専門企業。建設業界は人材不足が叫ばれていて、シーティーエスのような会社の需要は高く、業績は好調そのもの。チャートもうなぎ上りです。上方修正期待は高いでしょう。また、立川ブラインド工業は12月決算で、1-3月の1Q決算を5月に発表し、3.1%の経常増益でした。1Qの時点で進捗率は通期予想の33.7%、上期予想の66.4%に達しています。ところが、上期予想すらまだ引き上げていません。このままいけば、いずれ上方修正の発表が期待できるでしょう」
多くの3月期決算企業の1Q決算が発表されるのは7月下旬頃。1Qから上方修正が発表されれば理想シナリオだが、もし発表されなくても「今が仕込みどき」と考えればいい。チャンスは、すぐにやってくるはずだ。