元磐田カレン・ロバート、ニセ代理人に3回も連続で騙されていた<2>
元磐田のカレン・ロバート、アジアリーグ契約時に代理人に騙された経緯を語る<1>)では、マレーシア、インドネシア、タイ、韓国などからのエアオファーを待ち、無為の日々を過ごしていたカレン・ロバートについて触れた。が、事態は急展開し、八月にインドのクラブから正式オファーが届いた……はずだった。
「メールを見ると、ネット(手取り)で二十万ドル、5つ星ホテルに滞在で、帰国便の費用について……とか詳しく条件を書いてあるわけですよ」
筆者もそのメールの本文を見せてもらったが、細かい条件をすべて具体的に書いてある。あとはこれを契約書に落とし込むだけだ。
「だけどね、これ元代理人が自分でアカウントを作って送った偽装メールなんですよ」
たしかに、送信元のアドレスを見ると今や懐かしのホットメールである。
まったくの別件だが昔、筆者はとある芸能事務所社長に取材したことがある。
よく、芸能事務所を騙って若い女性から「登録料」をだまし取ったり、悪い場合は婦女暴行という事例がままあるではないか。そこで「まともな芸能事務所の見分け方」について聞いてみた。するとこの社長は「私個人の見解ですが」とことわった上で次のように答えてくれた。
「まずホームページのお問合せフォームですね。そこで送信先のアドレスを見ます。そこで最後にco.jpがついていれば法人格を持っていると思うのですが、ドメインがgmailとかヤフーとかのフリーメールの場合は要注意ですね…」
カレンもお人よしだった。この元代理人が契約書偽造でJリーグから除名されたにもかかわらず、「まさか人生での大きな失敗を二度繰り返す人はいないだろう」と最後まで信用しようとしていた。
「オファーがないならないで次に進もうよ、と話していたんですが、“いやオファーはあります”と言い張るわけです。今度は強化部長になりきって代理人の自分宛てに“背番号はどれがいい”とかメールを送っていたんですよ」
だが、選手の心情として、背番号をどうするかとまで聞かれたらこの契約は本物だろうと信じてしまう気持ちは筆者にもわからなくもない。
そして、無情にもISLが十月末に開幕した。もちろん、“紙”はまだこない。カレンは代理人をせっついた。そうすると、「届きました」とエアメール封筒の写メを送ってきた。
「中身は見せてくれなかったんですけどね。11月14日のことでした。じゃあ来週インド大使館に行ってビザ取りに行こうという話になりました」
前回記事(参照:1
2
ハッシュタグ