元磐田のカレン・ロバート、アジアリーグ契約時に代理人に騙された経緯を語る<1>

タカ大丸

インドリーグ契約時のトラブルについて吐露する

 サッカー選手とは、30歳を過ぎると誕生日が嬉しくなくなる人種である。もちろん、大部分が二十代でキャリアを終える現実を考えるとプロサッカー選手として30歳を迎えられたこと自体が幸せなことだ。  とはいえ、終わりの時は確実に近づき、自身の市場価値も下がる一方。今回は、そんな三十代を迎えた選手が無能な代理人に振り回されたらどうなるか、という話である。 「僕の同級生を見ると、軒並み試合に出ていませんものね。膝が悪かったり、ベンチにいたり、レギュラーでスタメン張っている選手はほとんどいないと思います。もうそういう歳なんだと感じてしまいますね……」  そう語るカレン・ロバートは1985年生まれ。平山相太と同学年になるが、1985年生まれのサッカー選手は間違いなく「平山世代」だった。だがそんな平山も今年三月に引退表明した。  これまでたびたびこちらの記事にご登場いただいているカレン・ロバートだが、彼はこの一年半にわたり苦悩の日々を送っていた。 「2016年12月にインド・スーパーリーグの仕事を終えて帰国し、では次の新しいチームを探そうというのが始まりでした。そのときに、当時の代理人が“ボビーさん、今度マレーシアとインドネシアからいい金額でオファーが来ます”って言ったんですよ。“来そう”じゃなくて、“来ます”って言いましたからね。そうしたら期待して待つじゃないですか」  カレンは期待して待った。待つ期間はそのうち二週間、三週間とのびていった。 「今度は“いま韓国から大きな話が来ているんですよ”と言うわけです。一部から落ちたところで、ベテランの君の力がほしいみたいな感じで言われていました。それが二月です」  例によってカレンは待つわけだが、いつの間にか韓国でシーズンが開幕していた。 「そして三月下旬になると、“タイから話が…”とか言ってくるわけですよ。そこまでくるとホントかよ、となりますよね」  常識で考えて、30歳をすぎたサッカー選手にそんなに全世界のほうぼうからオファーがやってくるのはおかしい。さすがに疑わしいと言わざるをえない。 「そしたらね、五月に普段はかかってこない電話が彼からいきなりかかってきました。“実は僕、あることが理由でJリーグの代理人登録から抹消されてしまいます。今の会社からも離れますが、すべて一時的なことですから大丈夫です。裁判沙汰になるおそれがあるのでカモフラージュですが、心配しないでください。日本での移籍は取り扱えなくなりますが、ボビーさんは元々海外志向ですから、日本から除名されても僕が担当できます”」  のちに判明したことだが、この元代理人がJリーグから登録抹消された理由は「契約書の偽造」である。そのせいである選手は半年間所属クラブがない状態に追い込まれた。代理人が一番やってはいけない、基礎中の基礎の話である。しかし、この元代理人は相変わらずカレンを相手に吹き続けた。 「“でも、来年にはインドリーグとインドスーパーリーグも統合されますし、お金も悪くないですし、シーズン自体も伸びていきますから、年金リーグではないですけどボビーさんが最後に稼ぐ場所としては悪くないと思います”」
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いつまで経っても送られてこない契約書
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