stpure / PIXTA(ピクスタ)
病院などの処方箋を元に調剤されることが前提の医療用医薬品は、処方箋がないと買えないと思いますか?
答えは「いいえ」です。
自分は、池袋で池袋セルフメディケーションという薬局を経営している長澤育弘と申します。
当薬局では病院などの処方箋を元に調剤されることが前提の医療用医薬品を処方箋無しで販売しています。このようなタイプの医薬品の販売方法を「零売」といいます。
当薬局を含め、零売薬局は全国で6~7件経営されています。
このタイプの薬局は一般的ではないので、業界内では妙な目で見られていますが今後も普及に努めていこうと思っています。
意外に思うかもしれないのですが、実は薬局が処方箋無しで医療用医薬品を販売することは禁止されている訳ではありません。(全てではなく概ね15000種類の中で7300種類の医薬品が処方箋無しで販売できます)病院の前や町中にある薬局で病院用の医療用医薬品を買おうと思えば受診しなくても買う事が出来るのです。
しかし実際に薬局に行ってみて医療用医薬品を処方箋無しで売ってくれと頼んでみても応じる薬局はそう多くはありません。
日本にはコンビニの数より薬局が多いと言われていますが(※日本フランチャイズチェーン協会の統計によれば、コンビニの数は2017年12月の段階で5万5322店ある一方で、保険薬局の数は2014年度の段階で5万7784店・内閣府調査)、この形態をとっている薬局約10000件に1件と僅かです。普通に便利で、誰にでも思いつきそうなビジネスですが、行っている者は少ない……そもそもなぜこのような事になっているのでしょうか。それはこの薬局業界の独特な事情があります。
医薬品を含めた医療の領域は規制がそれなりに厳しい領域であり、参入には資格が必要であったり、安全性を担保するため施設に基準を設けたりするために投資が必要であるなど参入障壁が高いのですが、普通に業務をを行えばある程度経営できるのでイノベーションが起きにくい世界なのです。