ワンスペースが打ち上げたOS-Xロケット1号機「重慶両江之星」 Image Credit: OneSpace
中国の民間宇宙企業「ワンスペース(零壹空间)」(OneSpace)は2018年5月17日、同社が初めて開発したロケット「OS-X」の1号機「重慶両江之星」の打ち上げに成功した。
中国では昨今、ワンスペースのような民間の宇宙企業がいくつも誕生しつつある。その中から米国のスペースXのように、大きく成長を果たす企業が現れるかもしれない。
ワンスペースは北京に本拠地を置く企業で、2015年に設立された。
これまで中国のロケット開発、製造は、国営企業が一挙に担ってきており、民間企業がロケットを開発するのは、中国ではほぼ初めての事例となる。
もっとも、ワンスペースは民間企業とはいえ、中国陸軍との結びつきは強い。ワンスペースも自ら明かしているとおり、同社は陸軍と民間のそれぞれの強みを活かして、宇宙の商業利用を加速させるという目的で設立されている。同社が今回打ち上げたOS-Xも、陸軍の短距離弾道ミサイルを転用したものと考えられる。
OS-Xは、全長約9mのロケットで、観測装置や実験装置を載せ、高度100km以上の宇宙空間に運ぶことを目的とした「観測ロケット」で、人工衛星を打ち上げる能力はない。詳しいスペックは明らかになっていないが、以前同社のWebサイトでは、100kgの機器を搭載し、高度800kmまで飛ばせる能力があると記載されていた。
今回の初打ち上げでは、高度40km、水平距離273kmの飛行に成功したという。高度100kmの宇宙空間には達していないが、これは今回が初飛行だったこと、また同国の航空機研究所の機器を搭載していたため、高い高度へ飛ぶよりも、水平方向の飛距離や速度を出せるように飛行したといった理由が考えられる。
ワンスペースはさらに、OS-Xを発展させた、人工衛星を打ち上げられるロケット「OS-M」の開発も行っている。
ワンスペースが開発中の小型衛星打ち上げ用ロケットの想像図 Image Credit: OneSpace