中国ではワンスペースに限らず、民間の宇宙企業がいくつも出てきている。こうした動きをもって「中国版スペースX」が誕生しつつある、と見る向きもある。いうまでもなくスペースXとは、実業家のイーロン・マスク氏が立ち上げ、いまなお成長を続ける世界最大の宇宙企業である。
米国では1990年代ごろから、いくつもの宇宙ベンチャーが立ち上がり、その多くは撤退したものの、スペースXなどの一部は生き残った。それと比べると、現在の中国の状況は、この米国の宇宙ベンチャーの黎明期と似ている。
現在の中国は、ロケットも衛星も高い技術力をもち、それが民間に転用されれば、大きな武器となることは間違いない。また工作技術の進歩や3Dプリンターの登場などで、ロケットを開発するハードルも下がっている。むしろ90年代の米国よりも参入しやすい。
とくに、こうした“中国版スペースX”は軒並み、小型衛星のマーケットに目をつけている。大型衛星の打ち上げ市場は、すでにスペースXのような米国や欧州の企業が鎮座しており、新興企業が参入できる余地は小さい。
しかし、小型衛星を打ち上げるための「超小型ロケット」はまだ数が少なく、さらに小型衛星の市場はいまだ成長段階で、今後さらなる需要拡大が見込まれることから、新規参入できる余地がある。
中国製品が安かろう悪かろうといわれた時代は終わり、いまや携帯電話やドローン、アクションカメラなど、さまざまな分野で中国製品に触れる機会が増えた。超小型ロケットもまた、同じく中国製が世界を席巻、少なくとも一定のシェアを握ることになるかもしれない。
中国のもうひとつの宇宙ベンチャー、リンク・スペース(Link Space)が開発中のロケットの想像図 Image Credit: Link Space