日大アメフト部騒動。過度な断罪は当事者性を失わせてしまう<アーチャリー・松本麗華の新連載>

麻原彰晃の三女で元「アーチャリー」。今はカウンセラーとして活動する松本麗華氏による時事考察連載スタート!

 はじめまして。松本麗華と申します。  まずは簡単に自己紹介を。  わたしは、のちにオウム真理教の教祖となる麻原彰晃(松本智津夫)の三女として生まれました。かつては「アーチャリー」と呼ばれていたので、皆さんには、この名前の方がなじみがあるかもしれません。  そんなわたしの幼い頃からの夢は、「学校に行くこと」と「お母さんになること」でした。学校は一日も行ったことがなかったので憧れていましたし、お母さんになりたいと思ったのは、ふわふわな妹や弟が可愛くて仕方がなかったからです。  わたしは、地下鉄サリン事件当時、11歳でありながら「三女・アーチャリー」として面白おかしく報道され始め、公立小学校や中学校で就学拒否され、義務教育を受けられない日々を送りました。  それでも、どうしても、同年代の友だちが欲しかったわたしは、学校に行くことを諦めきれませんでした。そこで、高校を目指し、いろいろとあったものの、何とか通信制高校に入学・卒業。大学も3大学から入学拒否され、裁判をして、最終的に文教大学人間科学部臨床心理学科への入学を勝ち取り、心理学を学びました。  大学卒業後、産業カウンセラーの資格を取得。生きることが苦しくつらかったので、同じように人生に悩む方々の力に少しでもなりたいと、現在、心理カウンセラーとして活動しています。  著書『止まった時計』の出版(2015年)――5月17日に文庫版が講談社から発売されました――を期に、実名でツイッターを開始し、ブログもやっています。最近はInstagramも始めました。  そのほか、健康フリークで、ボディメイク情報が好きです。ヨガのインストラクターとしても活動しています。  そんなわたしが最近のニュースで気になったのが、5月6日に東京で行われた日本大学対関西学院大学によるアメリカンフットボール定期戦のニュース。日大の選手が関学のクォーターバックに悪質なタックルを行った件です。  被害選手は全治3週間の怪我を負っています。身体的なダメージはもとより、精神的なダメージも計り知れません。練習には復帰できるようになったとのことですが、早く回復して、元気になってほしいと思います。  この事件が社会問題化するなかで、特に、(前)監督・コーチに対する、マスコミ報道や一般の人たちからのコメントは厳しいものとなっています。  会見での前監督やコーチは、その態度が誠意あるものに見えなかったことから、嘘をついている、真相を隠していると、厳しく批判されています。
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過度な断罪は出来事を「他人事」にしてしまう
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