新潟県知事選への出馬を表明、会見を行った花角氏
世界最大級の東京電力柏崎刈羽原発の再稼動を左右する、新潟県知事選が6月10日に行われる。この知事選、与野党激突の決戦となると同時に「県民党争奪戦」の様相も呈している。
「候補擁立難航」「出遅れ必至」との予測に反して野党陣営は、5月8日に柏崎選出の池田千賀子県議が電撃的に出馬表明。与党陣営がキャッチフレーズにしようとしていた「県民党」を先取りして「本家県民党」を名乗り始め、「総理官邸のご意向に逆らわない“優秀な官僚”では原発再稼動が進む恐れがある」として、与党側を“エセ県民党”と批判したのだ。
新潟県民有志の出馬要請に、花角氏が立ち上がったということになっているが……。
“エセ県民党”と批判されたのは、佐渡出身の国交官僚の花角英世・海上保安庁次長。二階俊博・自民党幹事長が運輸大臣だった時の秘書官だった。
「二階幹事長は『政界寝業師』との異名を持つ、百戦錬磨の政治家。花角氏擁立を最初から予定していた二階幹事長のシナリオに沿って、『県民党を名乗れる、政党色のない候補を擁立する』という自民党新潟県連の方針が決まったようにみえます」と新潟県政ウォッチャーは語る。
「政治色を感じさせない急造団体『新しい新潟を考える会』が設立され、自公県議がそれに参加。そこから“花角氏待望論”の声が出て、5月9日には県民有志8名が出馬要請をして11日に花角氏がOKするという経過をたどりました。この県民有志には政治家はおらず、民間人ばかり。しかしその人選は、与党側が事前にすりあわせていたといわれています。県民から自発的に動いているように装っていますが、すべては“二階シナリオ”通りだったのです」
県民有志の代表は、花角氏の中学高校の同級生でもある、新潟市の医療法人「新成医会」の渡辺毅理事長(医師)。1日の「新しい新潟を考える会」の会合に参加して自民党の友好団体の商工会議所幹部らと意見交換、「花角氏はマネジメント能力もあり、知事としてふさわしい」とコメントした。
そして、渡辺氏を代表とする県民有志8名(運輸・観光・食品業界の会社社長が4名、ビル関連会社の専務取締役1名ら企業経営者が5名。他にカリスマバスガイドやイベント関係者など)が上京し、台東区上野の新潟県人会館で花角氏にラブコールを送った。
この出馬要請に対して花角氏は「冥利に尽きる」「断るのが難しくなった」「里心が出た」と前向きに受け止めて出馬を決意。14日に辞表を提出、15日に新潟市で出馬表明を行った。その15日の出馬会見で、記者は花角氏を直撃した。