アムロ候補はトランプ大統領を批判しているが、米国とメキシコはエネルギー開発分野での協力、中米からの米国への不法移民の阻止、米国での麻薬密売の阻止といった面での相互の協力は欠かすことはできないとされている。今まで、メキシコの2大政党はこの線に沿って米国との関係を維持して来た。アムロが大統領になっても、この基本ラインから反れることは無謀であると考えられている。
もしアムロが大統領に就任しても、ギリシャのチプラス政権で起きたように、誕生した当初は反EU的な姿勢を保ったが、今ではEUに従順した政権に変身しているといったことと同じような過程をアムロは辿る可能性もある。
アムロが大統領になっても、メキシコの輸出の8割は米国に依存しているという現状を無視してメキシコの発展のための改革は米国の意向を無視しては実現できないという現実もあるのだ。
<文/白石和幸 photo by
Eneas De Troya via flickr (CC BY 2.0)>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。