記者からは「監督自身悔しい思いはしていますが、ワールドカップで日本代表を応援しますか」という質問も出た。
ハリル氏は
「
私は日本の永遠のサポーターです。いろんなことを混ぜることができない真っすぐな性格なので、今まで関わってきたチームそれぞれと、私は常に今まで関わってきたチームと親密な関係を築きたいし、ずっといつも私の忠誠心は、日本チーム、および多くの選手たち、スタッフたちに私はまだすごく心が通っていると信じていますし、みんなどのような事態でこういうことになったのかと分からないままです。
日本、ずっとこれからも頑張ってください。これは本当に心からの言葉です。みんな頑張って。これは、バイオリンって、リップサービスではありませんよ。私のことについて好きなだけいろんなことを言ってください。ただ、私のこの忠実な、真っすぐな、正直な気持ちは心からのものですし、それについては揺るぎないものだと思います。本当に今回、この事態のことを私はなんと申し上げたらいいんでしょうか。非常に心の残りです。どういうことなんでしょうか。
もう1つお願いがあります。個人的なメッセージになります、お許しください。チームの関わった全ての人たち、そしてサポーターにも先ほど感謝の言葉を申し上げたと思いますが、熊本県にも私、個人的にも感謝したいと思っているんですね。本当に特別なメッセージを直々に熊本県からもいただきました。
ワールドカップ前に熊本に足を運ぶと約束したので熊本にも行きたいと思っています。こういう状況なので変わってしまったのですが。そして熊本県と約束したのが、試合ごとに熊本のバッジを着けるということでした。次回は私は観光客として熊本に足を運ぶことでしょう。
友達から聞かれます。君は日本に行くのかい。もちろん、絶対自信を持って次も日本に来れる。今までやってきたこと、仕事にしろ、一個人としても、非常に自分でも自分のことを言うのもあれですけれども誇りに思っています。私もそして私の家族も日本が大好きです。素晴らしいところを観光で見物させてもいただきました。北にはちょっと足が運べてないのが残念なんですが、まだ生きていますから。なのでまたお目に掛かりましょう」
会見に出席していたサッカーに詳しいゲイレポーターの酒井佑人氏は次のように語る。
「ハリルホジッチ監督は世界でも名将として名を馳せていますから、日本の今回の電撃的な解任劇には欧州では批判するメディアが多い。ハリル監督は元サッカー日本監督のイビツァ=オシムさんと同じく旧ユーゴスラビア出身で、オシム氏とともに苦労人であるとともに厳しいけれど自己抑制のきいた人格者として知られています。現役選手後、選手時代の蓄えを元手に母国にて飲食店、衣料品店などの事業に出資するも、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争にて資産が消滅しました。地元チームの監督になるも紛争が激化してフランスに亡命しました。紛争で自宅が木っ端みじんに破壊されました。戦争の悲惨さを知るハリル氏はきわめて厳格な戦術家です。世界的に評価されている監督なのに、ワールドカップ2ヵ月前に、わけのわからない理由で電撃解任するなど、日本の恥を世界にさらすようなものです。残念でなりません」
ハリル氏は日本で監督を解任されたものの、その優秀さから、近い将来、どこかのチームの監督になるであろう。
<取材・文/及川健二(日仏共同テレビ局France10日本支局長)>