「私は日本代表の永遠のサポーターです」ハリルホジッチ前監督会見リポート

4月7日に「ハリルさん、お別れすることになりました」

ハリルホジッチ ハリル氏はワールドカップに向けた準備を次のようにして語った。 「ワールドカップのための調整にあって、そして自分が何を求めているかということは私自身ちゃんと分かっていた。そしてまた私自身もいろいろと満足もしていたし、それからまた選手についてのいろいろな情報データというものもゲットしていた。 そしてそこに、もう一番重要な、そしてその次に来るのが一番重要な23人の選手というものを選抜をするということになっていまして、そこでこういった問題というものが始まっていったわけです。いろいろな情報というものが私の耳にも入ってはきていたものの、私はあくまでも自分の仕事だけに専念をしていました。ただ、そのときにやるべき試合、そしてプレーになっていなかったということを言う人もいた。ですからこうした合宿をして、1か月調整をかけて、それでなんでこんなにも問題が出てこなくてはいけないんだろうか。そしてなぜ会長にしても、西野さんにしてもハリル、問題があるぞなんていうことを、なんで一度として言ってくれなかったんだろう。いえ、本当に一度として。そして何かちょっとあっても、誰もなんにも言わなかった。西野さんのほうが何か私に言おうとしていた」  つまり、西野朗現監督からも、田嶋幸三「日本サッカー協会」会長からも何の文句も指示もなかったと明かした。  そして、4月7日、パリで田嶋会長から監督解任の通告を受けたことを次のように明かした。 「4月の7日のことでした。会長のほうからパリへとお呼び出しがかかって、私はなんのことか分からず、ホテルのほうへと出向きました。そして、あ、こんにちは、こんにちはといって、そのあと腰掛けて、そしてハリルさん、これでお別れすることとなりましたというお話があったんです。最初は、え、ジョークだろって私は思ったんです。そして1分たって会長に、なぜかおっしゃっていただけますかって伺いました。そしたら、つまりはコミュニケーション不足。それによって私はそこでもっと怒りというものが沸き立ってきたわけです。そこで、え、どの選手と、どの人と? そしたら、いや、全般的にというお答えで、そしてその部屋からは5分たって出ました。 私はもう動転して、いったい何が起こったのか分からなくて、私と一緒にやってくれているコーチたちに電話をしたんです。1人はイングランドにいましたし、もう1人はドイツにいて、そこで試合の、うちの選手たちの視察をしていたんです。それで言ったんです。もううちに帰りなよ、終わったからなって。皆さん、このコーチたちの反応がどうだったかということはご想像ください。このように会長からそのお話をされたこと、そういう形で。そしてまたありとあらゆるこの3年間やってきたことに対しても。ですから私自身、監督をしている人間に対してのリスペクトというものがないのではないか。そして私と一緒にやってくれているこのコーチ仲間に対しての、やはり同じ思い。韓国戦のあとにやはり解任ということを考えたという話も聞きました。そしてそれだったら私だって少しは理解できます。つまりワールドカップよりも日韓戦のほうがいかに重要かということは私も分かっているからです」

サポーターにとっては監督解任は最悪の悪夢

 冒頭発言30分のところを50数分もスピーチしたハリル氏にはサポーターから次のような質問が出た。 「サポーターとして記事を書いているものです。サポーターとして1つ質問させてください。ヴァヒドさん、僕らサポーターにとってもこれは最悪の悪夢です。あなたと共にワールドカップの本戦を戦いたかったです。日本サッカー界がこんなひどい状態に陥った際に僕らサポーターは、どう振る舞えばいいのかアドバイスが欲しいです。今まで3年間共に戦ってきた何十万人、何百万人という日本代表サポーターに向けてメッセージをお願いします。」 ハリルホジッチ ハリル氏は次のように答えた。 「私のように傷ついている方が多くいるというのを聞いて、このように励まし、サポートのメッセージをいただいたこと、今までありませんでした。日本だけではありません。本当に今まで日本だけでなく、こういったことというのはありませんでしたし、本当に深く傷つきました。なぜなんだろうという思いで、もう一度日本に参りました。ぜひ一緒に東京の町を練り歩いてください。 ハリル監督とか、ハリルさんだっていって、多くの方々に道端でも声をかけられてうれしい。すごくうれしいです。でも何が起こったんでしょうかとみんな質問してきます。私のほうから直接会長にも質問をしたいと思っているんですけれども、私の得意分野である最後の詰めというのを、仕事をさせてもらえなかったんですね。ワールドカップブラジル大会でもかなりいい監督だったと自負しております。ワールドカップ出場権を得られるこの日本でもいい仕事をしたと思っているんです。初めてチームと、日本代表と仕事をしてきたのにもかかわらず、この続きができない。ここからだというときに仕事ができなくなっちゃうわけです。 やはり非常に傷ついております。皆さんサポーターの方々と同じようにやはり深い傷を負っていますけれども、まだ答えはないです。でも本当にサポートしてくださってありがとうございます。心より感謝します。このように私をサポートしてくださる方が、こんなに大勢いらっしゃるっていうのは本当に今まで分からなかったかもしれません。まだ全部を語りきってないのかもしれませんが、一番素晴らしい試合、それはサポーターとの試合かもしれません。それに私はサポーターの心を得られたという、そういった勝利を収めたのだったらすごくうれしいことです。ありがとうございます」
次のページ
世界では監督解任を批判する報道が多数
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会