NASA長官としての宣誓を行うブランデンスタイン氏 Image Credit: NASA
こうして新たな長官が決まったNASAだが、課題は山積している。
「強いアメリカを取り戻す」という標語を掲げるトランプ大統領にとって、宇宙開発は魅力的なようで、昨年10月には「国家宇宙会議」を24年ぶりに復活させ、大統領・政権が直々に宇宙政策を進められる体制を組んでいる。
しかし、以前拙稿『
トランプ大統領の“グダグダ”な有人月探査と、それを尻目に突き進む民間企業――2020年代、人類はどこへ行く?』でも取り上げたように、具体的になにをどう進めるのかなど、トランプ政権やNASAの足並みは揃っていない。たとえばトランプ大統領はふたたび月に米国の宇宙飛行士を送り込むという構想を打ち出し、そのためのロケットや宇宙船の開発も進んではいるが、実際に月に着陸するのに必要な予算はまだ決まっていない。
また、そのロケットも、開発コストは当初の見積もりを超え、さらにスケジュールも遅れ、トランプ大統領の現在の任期中に飛び立つかすら怪しくなりつつある。
さらに、トランプ大統領は国際宇宙ステーションへの予算支出を2024年までで打ち切り、以降は民間に委託しようともしているが、そのための技術的、予算的な裏付けはまだない。
くわえて、トランプ大統領もまた気候変動の否定派であることから、NASAの地球観測衛星の予算を大幅にカットし、運用・開発中の衛星も中止しようとしている。さらに新型の宇宙望遠鏡や教育・普及活動の予算も削減する姿勢を示している。
こうしたことから、トランプ大統領の宇宙政策には多くの問題があり、多くの批判も受けている。
「国家宇宙会議」を24年ぶりに復活させる文書に署名するドナルド・トランプ大統領 Image Credit: The White House