米利上げ終了と日銀の量的緩和政策の出口で、円高・ドル安が加速。新しい円高スター株を探した!
為替が年初から円高に傾き、1ドル=100円割れの再来を予想する声も聞こえてきた。ドル円相場は昨年11月に1ドル=114円だったものが、今年3月に一時104円台まで円高に振れた。わずか4か月で10円も円高が進んだのだから無理もない。
では、プロは為替の先行きをどう見ているのか。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「1ドル=100円を超える円高」を予想する。
「ドル円相場は年内100~108円前後のレンジと見ていますが、100円を割れる可能性も考えられます。トランプ減税で米国の景気指標は上向いていますが、政策効果には限界があり、徐々に景気の減速感が出てくる可能性が高い。景気が減速すれば連続利上げは必要なくなります」
高い金利を見込めないドルは売られ、円高に傾きやすくなる。
昨年5月は1.00%だった米政策金利だが、段階的に引き上げ、現在は1.75%まで上昇している。しかし来年に入ると、米国の利上げ局面終了が市場のコンセンサスになるというのだ。
FRB(米連邦準備制度理事会)が量的緩和の後始末で、かつて市場に大量供給した資金の回収に着手していることもドル売りの火種として残っている。FRBは6月の追加利上げを視野に入れており、金融引き締めを嫌って米国株が大幅安となれば、こちらもやはりドル売り要因になる。
米国でドル売り要因が重なる一方、日本では円買い要因が多い。震源地は日銀だ。株式ジャーナリストの大神田貴文氏はこう話す。
「日銀の黒田東彦総裁は景気の底打ちや2%台への失業率低下を踏まえ、今年に入って国会答弁や講演でたびたび『量的緩和の出口』に言及しています。今後、円安の原動力となってきた量的緩和が終われば、為替がそれまでの反動で円高に走りだすことは想像に難くありません」
安倍晋三首相の支持率低下も円高リスク要因になりそうだ。
「森友・加計学園問題が泥沼化し、安倍内閣の退陣観測が強まれば、為替市場は円買い・ドル売りで反応するでしょう。というのは安倍首相が退任すれば、円安誘導で輸出企業の業績回復を進めたアベノミクスもそこで終わり。4月に2期目を迎えた黒田日銀総裁も道連れに引退が濃厚となります。総裁任期が終わる’23年に黒田氏は78歳と高齢。このため、安倍首相に口説かれて2期目を引き受ける際、黒田氏は現行政策の幕引きとともに中途退任する密約があったと噂されています」(大神田氏)
財務官僚出身の黒田氏の後任は雨宮正佳副総裁の昇格が濃厚だ。
「雨宮氏は日銀生え抜きで『金融正常化』が悲願。“雨宮新総裁”が誕生すれば金利引き上げに着手する公算が大きく、世界一安定した通貨と呼ばれる日本円に金利が復活すれば、円買い需要は一段と強まるでしょう」(同)