ブラジルに人種差別主義、同性愛嫌悪、権力主義の「カリオカのトランプ」極右政権誕生の可能性高まる

白石和幸

photo by Fábio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil(CC BY 2.0)

 今年10月7日に予定されているブラジル大統領選挙で、人種差別主義、同性愛嫌悪、権力主義などを擁護する過激な発言が目立つ、極右派の人物が大統領になる可能性が高まっている。「ブラジル・カリオカのトランプ」との異名を持つその人物とは、下院議員ジャイル・ボルソナロである。

 ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ元大統領は、次期大統領候補として支持率で35%のトップの座にあったが、今月収賄罪などで12年の禁固刑の判決を受けて収監されたことによって、立候補できる可能性はゼロとなってしまった。

 そこで台頭してきたのが、ルラ元大統領の次に候補者として支持率が高いのがボルソナロである。彼は、昨年12月の時点で17%の支持率を得ている。しかも昨年3月の段階では、僅か9%の支持率しか持っていなかったにも関わらずの躍進なのである。(参照:「El Pais」)

 ルラが立候補出来なくなったことで、ボルソナロの支持率は20%まで上昇すると予測されている。この支持率があれば、決選投票に臨める可能性は十分にある予測されている。(参照:「LETRAS LIBRES」)

極右候補者台頭の背景

 ボルソナロへの支持率が上昇している背景には以下のような社会事情がある。

 ルラとルセフ、二人の大統領による13年間続いた左派労働者党政権だが、2014年頃から経済は低迷を始め、その一方でルラを始め政府要人の汚職が明るみとなり、その多くが既に逮捕されている。そして、ルセフは罷免されるという事態になった。しかも、経済の後退と共に治安も悪化し、昨年は6万人が殺害されるという危険な国となってしまった。

 そんな中、ボルソナロは、ルセフの罷免に積極的に賛成を表明し、治安維持の為に武器の販売の自由化や犯罪者を拷問にかけるのを認め、必要とあらば警察が犯人を追跡したりする際に射殺することも容認するといった考えを表明しているのだ。更に、彼は死刑判決にも賛成している。(参照:「El Pais

 また、ラテンアメリカでは、この10年余りで宗教保守化が進んでいるが、それはブラジルでも同様で、聖書の教えを忠実に守ることを信条にして中絶、同性結婚、麻薬の合法化といったようなことについて厳格に反対を表明する動きが活発になった。ボルソナロもこれらの合法化に強く反対している。

 そして、ボルソナロは、労働者党に政権を戻すことはブラジルを崩壊に導くことに繋がると示唆している。その具体例をベネズエラに挙げて、即刻、解決しなければブラジルはベネズエラのようになると煽っているという。(参照:「Cronicia」)

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支持の大半は若年層

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