西武の新しい顔「拝島ライナー」登場!――好調の裏にあったかつての「苦い失敗」

佐藤 庄之助
 大都市圏の大手私鉄で「座席指定列車」が相次ぎ誕生するなか、西武鉄道の新たな座席指定列車「拝島ライナー」が好調なスタートを切った。

 運行初日となった3月10日、西武新宿駅での盛大なセレモニーのなか華々しいデビューを飾ると、約2週間経った23日(金曜日)も、西武新宿18時15分発の拝島ライナー1号が2駅目の高田馬場を「ほぼ満席」の状態で出発。「やっぱり座って帰れるのは魅力」と好評のようだ。

 そんな上々の“スタートダッシュ”を決めた拝島ライナーだが、その好調の裏には、かつて西武が経験した「苦い失敗」の反省が活かされていた。

西武新宿駅で発車を待つ「拝島ライナー1号」。期待に違わぬ好調なスタートを切ったようだ

とにかく早い!都心から小平まで「16駅無停車」

 まずは拝島ライナーの「スゴさ」について詳しく説明しよう。

 拝島ライナーとは、西武新宿線西武新宿駅から西武拝島線拝島駅(昭島市)までの区間を43から47分で結ぶ、全席座席指定の通勤列車だ。通常運賃+指定席券300円で利用可能で、4月現在は平日・土休日ともに、18時から22時台の帰宅時間帯に毎時1本、計5本が大都会・新宿から都内西部のベッドタウンへ向けて運行されている。

 圧巻はその速さだ。途中停車駅は高田馬場と小平、小平から先の拝島線各駅だが、高田馬場から小平までの途中16駅を「完全スルー」し、約20分ですっ飛ばすのである。

 同区間を走る急行ですら、鷺ノ宮、上石神井、田無、花小金井と4駅も停車し、約27分の時間を要するのだから、拝島ライナーが如何に「すっ飛ばして」いるかが分かるだろう。

 拝島ライナーの速達性は、拝島線ユーザーのみならず新宿線ユーザーにとってみても大きな魅力だ。拝島ライナーは全列車が小平で各停新所沢行き(土休日は本川越行き)に接続するため、既存の座席指定特急「小江戸」が停まらない久米川駅(東村山市)の利用者は特に大きな恩恵を受けることとなる。

西武新宿線・拝島線の路線図。急行、準急と比べても、拝島ライナーの速さが目立つ。(西武鉄道公式サイトより)

 とは言え、300円を払って乗車するのだから、車内ではなるべく快適に過ごしたいもの。拝島ライナーはそんな「快適性」を求める声にも応えている。

 拝島ライナーに使用される40000系は、昨年から主に西武池袋線系統の座席指定列車「S-TRAIN」として運行されている新型車両で、ロングシートとクロスシートの座席転換機能を備えており、拝島ライナーとしての運行時にはクロスシートに転換される。座席には電源コンセントが設けられているほか、首都圏の通勤列車では珍しいトイレも設置。帰り際に買ったビールも遠慮なく飲めそうだ。

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「6年前の失敗」による教訓

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