日本のロケットベンチャー「インターステラテクノロジズ」のロケット、4月28日に打ち上げ再挑戦

ISTが開発したMOMOロケット2号機と、同社社長の稲川貴大さん、同社ファウンダー・取締役の堀江貴文さん Image Credit: インターステラテクノロジズ

 北海道に拠点を置く宇宙企業インターステラテクノロジズ(IST)は2018年3月28日、開発中の観測ロケット「MOMO」の2号機を、4月28日に打ち上げると発表した。  MOMOの1号機は昨年7月に打ち上げられ、エンジン性能の実証を行うなど成果を残すも、最大の目的だった宇宙空間への到達は、トラブルにより果たせなかった。  同社では9か月という短い期間で、1号機のトラブルを分析すると共に、機体を改良・強化した2号機を開発。関係者は「リベンジ戦だ」と成功に向けて意気込む。

高度100kmの宇宙を目指す「MOMO」

 MOMOは、ISTが高度100kmの宇宙空間を目指して開発している観測ロケットである。名前のMOMOも、百(もも)から来ている。  ロケットには、「衛星打ち上げロケット」と、MOMOのような「観測ロケット」の大きく2種類がある。衛星打ち上げロケットは、文字どおり人工衛星を軌道に乗せることを目的にしたロケットのこと。衛星を軌道に乗せるには莫大なエネルギーが必要になるため、大きくて複雑な機体をしている。  いっぽうの観測ロケットは、小規模な観測装置や実験装置を載せ、一般的に宇宙と呼ばれる高度100km以上に飛ぶことを目的としたロケットのこと。軌道には乗らず、最高高度に到達したあとはそのまま落下する(たとえるなら野球でとても高いフライを打ち上げたようなもの)。  観測ロケットには、衛星では観測できないような高度の環境を調べることができるなど、衛星打ち上げロケットにはない、観測ロケットならではの特徴、使い道がある。ISTでは宇宙実験や、宇宙や高層大気の観測、新しい装置の試験をはじめ、ロケットの打ち上げそのものを利用した宣伝やエンターテインメントなど、幅広い用途での需要を見込んでいる。  ちなみに衛星を打ち上げるのと比べ、高度100kmに達するだけなら必要なエネルギーは10分の1ほどですむので、ロケットは小型で、シンプルな機体をしている。そのため比較的開発もしやすい。しかし、立派な本物のロケットなので、決して簡単というわけではなく、また将来の衛星打ち上げロケットの開発に向けた練習にもなる。

MOMO 2号機 Image Credit: インターステラテクノロジズ

次のページ
「リベンジ」を果たせ!
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会