テレビにのさばる熟女たちが、うらやましくて仕方がない理由<北条かや>

筆者が熟女たちを「うらやましい」と思う理由とは?

北条かやの「炎上したくないのは、やまやまですが」【その14】

 昨今のテレビ業界では、60~80代の「熟女」がもてはやされているらしい。  コラムニストの桧山珠美氏によれば、テレビのバラエティ番組ではここ最近、冨士真奈美(80)、加賀まりこ(74)、水前寺清子(72)に小柳ルミ子(65)などの大御所女優たちをよく見かけるという(「加賀まりこに小柳ルミ子 ますます熟女がのさばるテレビ界」2018年2月17日、日刊ゲンダイ)。  筆者も先日、「今夜くらべてみました」(日本テレビ系)を見たが、大女優の十朱幸代(75)さんが自由奔放な発言でスタジオを沸かせていた。司会の徳井さんと、まるで少女のようなテンションで絡み、他のゲストにも変に媚びることなく天真らんまんという感じだ。笑顔も可愛らしい。  お肌はもちろん、各種美容医療の叡智が結集された結果だろうか、とても75歳には見えなかった。ちょっと不自然なほどツヤツヤし、何もしなければ老化にともなって存在感が薄れるはずのお目元も、まるでお人形のようにパッチリしている。  悪い意味で言っているのではない。女優は、映像のなかで自分を美しく演出するのが仕事のウチだから、外見のメンテナンスに気を使われるのは当然だ。  彼女のように、年齢にあった経験値を身につけた上で、外見は美しく、周りの誰からも気を使われているのに恐縮せず、天真らんまんな美熟女が、私は羨ましくて仕方がない。あの「自由奔放さ」は、女の自意識の勝利ではなかろうか。  現在31歳の私は、絶え間なく襲ってくる老化現象に怯えはじめている。若いだけでもてはやされていた(のだろうが、今ひとつ自分に自信が持てなかった)20代がムダに過ぎ去り、外見にも内面にも自信がないまま30代に突入してしまったからだ。  今は、衰えゆく外見ばかりに目がいく。他人から「ブス」「ババア」と言われれば、分かっているのに「そうだよなぁ、ブスだしババアだよなぁ」と自分のたるんだ頬を指差し確認。ババアであるこいつをいかに美容医療で若返らせるか、毎日必死に考えている。  本当に自分のことを「ババアです」と開き直っていれば、赤の他人からババアと罵られてもそんなに凹まないはずなのだが、心のどこかで「女の土俵で戦いたい」と思っているもんだから、往生際が悪いのだ。
次のページ
「男性から、若くて魅力的な女だと思われたい」というズルさからの解放
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会