30秒で5億4500万円! マーケティングの頂点、スーパーボウルで流れたCMって?

 1億人以上が視聴するというスポーツ界きってのお化けコンテンツ、スーパーボウル。今年2月に行われた第52回スーパーボウルでは、フィラデルフィア・イーグルスが、ニューイングランド・ペイトリオッツを下してNFL優勝を決めた。

Photo by Quintin3265 via Wikimedia Commons

大御所俳優とラッパーのコラボ作品も

 しかし、熾烈な戦いが繰り広げられるのは、フィールド上だけではない。『スポーツ・イラストレイテッド誌』の報道によれば、スーパーボウル中継でのCMには30秒で500万ドル以上というとんでもない放映料がかかるそう。世界中が注目するだけあって、飲食からエンタメまで、各業界にとって最高峰のマーケティングの場となっている。  放映料に加え、ハリウッドスターや人気ミュージシャンの出演料、最新の映像技術の製作費など莫大な予算を投入しているだけあって、数十秒とはいえ、各社のCMは見応えはたっぷり。「アメフトは興味ないけど、CMを目当てに観ている」(アメリカ人男性・36歳)という層もいるほどだ。  今回は、そんなスーパーボウルのCMを全て視聴。どの企業のものが流れたのか、その内容とともにお伝えする。 「Wix.com」:イスラエルに本社を置く、ホームページ作成ツールを展開しているサービス。ネット系コメディアンのレットとリンクが出演し、約1分間で、HPの背景テンプレートの選択、動画の埋め込み、SNSとの連動が簡単に行えることを説明した。派手さには欠けるが、サービス内容は伝わりやすい。 「Amazon」:CEOのジェフ・ベゾスが自ら出演。Amazon Echoなどのデバイスに搭載されているAIアシスタント「Alexa」が声を失ったら? というテーマで、女性ラッパーのカーディ・Bや名優アンソニー・ホプキンスが“声の代役”としてカメオ出演した。放送時間は90秒。これに加え、同社は初めてスーパーボウルで「Amazonプライム」のCMも公開。内容はトム・クランシー原作で映画化もされている「ジャック・ライアン・シリーズ」ドラマ版の予告。こちらの長さは60秒なので、全て合わせると放映料だけで27億円以上かけていたことになる。 「AmeriTrade」:スーパーボウル初登場となった米オンライン証券会社。ライオネル・リッチーがパソコンを前に同社のキャッチフレーズを考えるというコミカルな内容。 「Avocados From Mexico」:アボカドのレシピサイト。荒野にそびえ立つ謎のドームに閉じ込められた人々……。付け合わせのチップスがドーム外にあることで、パニック状態に陥るというシュールな内容はインパクトたっぷり。 「Blacture」:伝説的ラップグループ、Fugeesの元メンバー・プラーズの新プロジェクトで、黒人カルチャーを啓蒙するためのプラットフォーム。観客のいない劇場のステージに立ったプラーズが、目隠しと口を塞ぐテープをはらいのけると、「Be celebrated, not tolarated」(許容されるのではなく、賛美されろ)というキャッチフレーズが映し出される。メッセージ性の強いこのCMの監督を務めたのは、『トレーニングデイ』で知られるアントワーン・フークア。 「Bud Light」:ビールブランドのCMはクリスマスに始まったキャンペーンを締めくくる、3部作の完結編。映画さながらの合戦シーンに「バド・ナイト」なる騎士が登場する。 「Budweiser」:こちらもビール界の巨頭だが、ユーモラスなバド・ライトのCMとはうって変わり、「必要なとき、我々は側にいます」と、フロリダ、テキサス、プエルトリコ、カリフォルニアの被災地に飲料水を届けたことをアピール。 「Coca-Cola」:ヒジャブを被ったムスリム女性や、スケートコースで技を決める車椅子の男性などが登場し、幅広く親しまれていることを強調した。ダイエットコークのCMも放映され、こちらはダイエットコークを手にした女性が音楽に合わせて踊るというもの。どちらもややインパクトが薄い。 「Doritos」:ドリトス・ブレイズとマウンテン・デュー・アイスを宣伝。『ゲーム・オブ・スローンズ』のピーター・ディンクレイジが口から炎を吐きドリトスを、モーガン・フリーマンがキンキンに冷えたマウンテン・デューを宣伝。それぞれラップをするのだが、彼らの声をバスタ・ライムスとミッシー・エリオットが吹き替えている。豪華出演陣に加え、部屋が燃え盛っていく/凍りついていく特集効果も見どころ。 https://www.youtube.com/watch?v=QNzzJzdgUto 「Etrade」:主にオンライン証券取引の仲介を行っているアメリカの金融会社。おじいちゃん消防士や救助隊員、おばあちゃんDJなどが登場し、「3分の1以上のアメリカ人が老後の貯金がない」というテロップで、老後向けの口座開設を促した。 「Febreze」:むさ苦しい男たちが大量の料理とテレビを囲む中継にはピッタリ。トイレにファブリーズを置いておこうと呼びかける。 「Fiat Chrysler Automobiles」: ‘14年にフィアットがクライスラーを買収したことで誕生した同社。ヴァイキングを載せたダッジ・ラム、『ジュラシック・パーク』をモチーフにしたジープなどのCMを放映し、アウトドアへの強さをアピールした。 「Groupon」:日本でも展開している共同購入型値クーポンサイト。コメディ女優のティファニー・ハディッシュが地元で買い物をする大切さを説く。
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