この「眉を下げて相手の発話の変化を観る」というテクニックは面接だけでなく、様々な対人場面でも利用することが出来ます。
例えば、私は仕事のオファーを受けるか受けないか、ある営業担当から勧められた商品を買うか買わないか等を判断する一つの材料として利用しています。
話をしていて、「ん? 何かこの人、話の間合いがおかしい」と感じることがあります。
そんなとき、適当なタイミングで意識して眉間に力を入れながら相手の話を聞きます。最初はさりげなく、それでも気づかれなければ、相手の方をじっと見ながら明確に。
相手がこちらの意変に気付き、話の間を変えたり、話の主導権をこちらに譲ってくれるようなリアクションがあれば、「あ、良かった。この人とはまともなコミュニケーションが取れそうだ」と思います。
こちらの意変に気付かず、つまり営業場面ならば、営業担当の方が私(=お客さん)の聞きたいポイントや欲しいポイント、理解不能なポイントを理解せず、一方的に話続けてしまう。
そんなとき「あ、なんだ、この人は口では『御社の経営改善に』とか『御社の売り上げ向上に』とか言っているけど、こちらへの意識ゼロだな~」と思ってしまいます。
仕事を始める前の段階や購入商品をこれから吟味するという段階で、相手のコミュニケーション力に疑問を感じると次の段階に歩を進めることが猛烈に心配になります。
私が納品する成果物の完成イメージに乖離や誤解が生じるのではないか、営業担当の押し売りが始まるのではないか、そんな不安が脳裏によぎるのです。このような場合、仕事のオファーを断る、商品を買わない、営業担当を変えてもらう、大抵そんな帰結となります。
採用面接で学生さんのコミュニケーション能力を測る指標や判断基準が各企業や各面接官毎に様々にあると思いますが、眉の動きで推定する方法は簡単で今すぐにでも出来ます。来る今年の面接で試してみませんか?
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【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『
ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。