確かに、相手の都合がわからない場合や、相手のスケジュールの埋まり具合が高い場合は、こちらから候補日を挙げても「都合が悪い」という返答が帰ってきやすいというケースはあるでしょう。そういう場合は、
「○月の第三週くらいで、ご都合のよい時間を何通りがご教示いただければ助かります」
というように、ある程度先の日程で、広い範囲で都合を聞けばよいでしょう。
私は、トップダウンの命令ではなく、質問によって相手を巻き込んでいくリーダーシップ手法の演習をしています。そこで、自分からは質問をして、相手に答えてもらって、相手の答えた内容で、話をまとめていくという手法を普及させています。
その観点からは、前出の「質問して相手に答えてもらうことで、相手を巻き込む手法を学んだのでそれを実践しようと思った」という考え方は、わからなくはありません。しかし、7往復もしてしまったのは、質問の仕方が具体的ではなかったからではないでしょうか。
漠然と「いつ頃が良いでしょう」と聞くと、相手からは漠然とした答えしか返ってこないことが多いと思います。
「○日○時と○日○時であればどちらが良いでしょう」と具体的に聞くと、都合の良し悪しが返ってきた理、どちらが良い答えが返ってきやすいはずです。
生産性向上のために、スケジュールに要するメール回数の削減も必要なことです。質問の仕方ひとつで、スケジュール調整の効率化が出来るとすれば、実施してみたいと思いませんか?
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第71回】
<文/山口博>
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある。