2018年、角突き合わせて話し合うだけの「合意形成」できない議論はもうやめよう!

同じ土俵に立たない、北風にならない

 進行役が「4つの質問」を繰り出すだけで、会議で一定時間内に合意形成できる確度が格段に高まります。4つの質問とは、洗い上げ質問、掘り下げ質問、示唆質問、まとめの質問のことです。(※参照:「「4つの質問」を駆使すれば、1時間で必ずチーム内の合意形成ができる!」)  実は、30分なら30分、60分なら60分の一定時間で、一つのスキルを一回使って、一気に合意度を100%に上げる方法は、未だ見出すことができていません。しかし、4つの質問を繰り出すプロセスを、一定時間内の中で、3回程度繰り返して回せば、ほとんどのケースで合意形成が実現できることが実証されています。  要は、お互いに意見を言い合い応酬し合わないで、一方が質問して、他方が答えるというように、立ち位置を変えるということです。立ち位置を変えるということは、同じ土俵に立たないということなのです。  同じ土俵に立たないから角突き合わせることがありません。童話の北風と太陽ではありませんが、北風同士で双方が自身の主張を角突き合わせていては解決しないので、一方が太陽となり質問者に徹するのです。質問者は、相手からの返答が返ってきても、反論したり拒否したりしないで、ひたすら聞き役に徹するということになります。  そして、この方式の良いところは、質問する側の会議の進行役は、会議の議題になっている業務の知識がなくても出来る点です。なぜならば、質問をする役割を担うからです。

質問による合意形成手法が使える会議

 ただし、この4つの質問による合意形成手法は、使える会議が限られています。伝達や指示をするだけの会議や、情報共有だけの会議では効果を発揮しません。伝達や指示、情報共有を効果的に行うためのスキルは別にあります。あくまで、一定時間内で合意形成するという目的を持った会議で使用する方法になります。  従って、50人や100人など、多数で行う会議では用いません。実質的な議論ができる会議メンバー数、10人前後の会議で用いるスキルです。  実質的な議論が出来る会議で用いるスキルなので、発言が全くでないというようなメンバーによる会議では使えないのです。そういうメンバーがいる場合は、そもそもある程度発言をすることを習慣付けするスキルがあるので、それを実施してから、この方式を用いましょう。  一定時間内に合意形成する目的の会議、かつ、ある程度発言ができるメンバー10人程度で行う会議で、進行役が4つの質問を繰り出して合意形成していく。次回以降4回にわたって、これらの4つの質問の繰り出し方を紹介していきましょう。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第64回】 <文/山口博> 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある。
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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