psisa / PIXTA(ピクスタ)
みなさん、あけましておめでとうございます。今年も、モチベーションファクターに焦点を当てた「分解スキル・反復演習」でビジネスにおける交渉や対話をスムースに進める方法を考えていきましょう。
今年の第一回は、「どうすれば合意形成に至ることができるか」です。
社内でポジションが上がるにつれて、会議や対話の進行役になって、合意形成を実現する役割を担う機会が多くなります。しかし、合意形成するといっても、なかなかすんなりと合意ができないことが多いと思いませんか。
M&Aや働き方改革の観点を含めて、企業をサポートしてきた経験をふまえると、会議や対話で合意形成ができない状況は、次の2つに大別されます。途中から紛糾して時間切れになってしまうケースと、本音が議論されずに見せ掛けの合意のままで経過してしまうケースです。
そこで、多くの企業で行われていることは、とことん議論する、時間をおいて議論する、第三者を入れて議論する、議論のポイントを整理したりフレームワークを用いたりして議論する…という方法です。いずれも、当事者同士の角突き合わせて議論を尽くす方式がとられたり推奨されたりすることが多いと思います。
しかし、この角突き合わせて議論する方式ですが、実は合意形成を促進した試しがないと思いませんか。むしろ、膠着状況に陥ったり、収拾がつかなくなったりしてしまい、お互いあきらめてしまう状況をつくりだしてさえしまいます。
議論することや、議論の筋道をロジカルに組み立てたり、フレームワークを学んだりすることが不要だとは言いません。しかし、それらだけでは、合意形成の度合は高まらないのです。
議論の仕方を間違えれば、議論すればするほど、紛糾度合が高まってしまうという本末転倒な事態となってしまいます。むきになって応酬すればするほど、相手方が言っても無駄だと口を閉ざし、見せ掛けの合意に陥りかねないのです。
合意形成を促進するために、いろいろな方法にトライしてきましたが、現在、もっとも効果のある方法は、ある程度議論して時間切れになってしまったり、見せ掛けの合意に陥ったりしてしまうようだったら、角突き合わせて議論することをやめてしまうという方法ではないかと思います。
やめてどうするかと言えば、ああ言えばこう言う方式で応酬し合わないで、一方が質問だけする方式にするのです。一方が質問だけする方式で、合意形成などできるかと思うかもしれませんが、実は、できます。質問する側はその会議の進行役となります。質問の順番と仕方さえ身に付ければ、かなりの確度で、一定時間内の合意形成が実現できるのです。