日銀ETF買い入れの出口戦略から考えた投資法とは?

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年6兆円ベースで爆買いはまだまだ続くのか? 日銀ETF買い入れ逆算式投資法!

 年6兆円のペースでETF買いを続ける日銀。今後もこの“爆買い”は継続されるのか? また、日銀は今、“日本株の大株主”になっているが、買い込んだETFはどうするのか? 日銀内部者をはじめ、関係者に聞いた。  日銀は’16年7月にETF購入枠を年3.3兆円から6兆円に引き上げた。’17年も合計6兆円のETFを買い入れする予定だったが、「’17年秋から日銀はETF購入ペースを落としている」と、株式評論家の大神田貴文氏は指摘する。
日銀ETF買いと日経平均の推移

【日銀ETF買いと日経平均の推移】’16年7月までは年3.3兆円、以降は年6兆円でETFを買ってきた日銀。日経平均1万円割れの底値から反発する原動力になってきた

「TOPIXが前場にマイナス0.1%を下回ると、後場に700億円規模のETF買いが入ることが多く見られました。ところが、株式市場が好調だった’17年は、このままのペースでは『年6兆円』を達成することは難しく、市場の一部では年末にかけて駆け込み的な大量買いが期待されるなど、日銀による“ETF爆買い”に注目が集まりました。’18年も年6兆円ペースでの爆買いは続きますが、ETF買いの持続性について日銀内で懸念の声が上がっています」  日銀の保有するETFの残高は20兆円を超えており、将来的にはETF購入をやめ、売却に転じるとの観測もある。  そんななか、もっとも有名な個人投資家の一人、210億円トレーダーのcis氏は、日銀が購入したETFの出口戦略についてツイートした。ETFを解体し、構成銘柄の各企業が日銀から直接自社株買いをできるようすれば、株主、日銀、企業、日経平均のいずれにもメリットがあるという妙案だ。このツイートをきっかけに、日銀ETF爆買いの出口戦略にも注目が集まるようになったのだ。  市場に詳しい関係者はどう見ているのか。  ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は、「ETF買いをやめるなら今が好機」と話す。 「日銀が’20年3月まで年6兆円、月5000億円のペースで買い続け、その後は毎月200億円ずつ減額しても、ETF買いは’22年3月まで続きます。そのときの残高は約40兆円。その後、毎月2000億円ずつ売却しても、全部売り切るのは’38年11月と、ずっと先になる。日銀の財務が株価の影響を受けやすくなるのは異常です」  企業業績が好調なため、今なら日銀がETF購入をやめても市場への打撃は少ないとみている。  一方で、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は「東証1部の時価総額約600兆円に対し、日銀が保有するETFはまだ3%程度ですから、そもそも売却する必要はないが」と前置きしたうえで、次のように話す。 「相場が過熱しそうなときに冷ますためにも、市場でたまに売ってもいいのでは。もしくは、現在価格よりもディスカウントした価格で一般投資家に売るという方法も考えられます。これはIPOなどのように、欲しい投資家は応募し、抽選で当選者を決めるといったやり方です」
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もしも日銀が売却を始めたら…
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