それにもかかわらず、相場に「バブル的」や「官製相場」といった揶揄もある。しかし、武者氏は一蹴する。
「そもそも、この相場を牽引しているのは海外投資家。投資部門別売買状況を見ると、今や彼らは日本の東証出来高株式市場の約6~7割を占めるほど強大です。つまり市場のトレンドを決めるのは海外投資家なのです」
【影響力の大きい海外投資家】投資部門別売買状況を見ると海外投資家の行動が日経平均株価の動向に影響を与えている。「市場のトレンドを決めるのは海外投資家なのです」(武者氏)
その勢いは’80年代バブル並みだが、本質はまったく異なるという。
「当時の日本株価はミスプライシングですよ。株式益回りは2%以下・配当利回り0.5%であり、一方、長期国債利回りと預金金利は8%。株式は圧倒的に弱いはずだったのです。今回は株式が強いので、この上昇は当然です」
億り人の個人投資家・ろんぐて~る氏も、現在の活況に驚愕する。
「海外勢は一気に来た感がありますね。相場というのは、選挙報道があると上昇傾向になるんです。過去には小泉政権の郵政解散のときも同じでした。海外勢は選挙前から相当な額を買い越していたはずです」
個人投資家にとっても攻めの一手というお祭り相場だとか。
「リーマンショック前にはITバブルもありましたが、恩恵は特定業界に限られていました。今回は規模が違う。有効求人倍率も1倍を超えていて、次は賃金インフレから個人消費のアップでしょう。これこそ本物の景気回復。株価も3万円を超えれば、懐疑的な声もなくなって、みんなハイになってきますよ。’80年代、ボディコンのお姉ちゃんがセンスを振り回してたような、あんな時代がくるかもしれません」
これこそ、まさにトリクルダウンの実現なのである。
【武者陵司氏】
投資ストラテジスト。武者リサーチ代表。ドイツ証券グループアドバイザー。論理一貫、独立不羈、歴史的・国際的視野をモットーにした予測に定評がある
【ろんぐて~る氏】
資産6億円を超える個人投資家。アベノミクス初期、ガンホー株(「パズルアンドドラゴンズ」が大ヒット)で資産1億円を達成。不動産投資や先物なども行っている
取材・文/エンスパ日本株取材班
― 日経平均3万円時代の勝ちきり方 ―