“子連れ入店お断り”は差別? 韓国でも議論を呼ぶ「ノーキッズゾーン」

問われているのは、親や保護者のモラル

 ちなみに、人権委は子どもが入店する際へのマナーなどには言及しておらず、客席でのオムツ替えも、店内を走り回るのも、対策などは店側に任せきりだ。  こうした「子育て層」だけをかばう政府の姿勢に、当然ながら疑問の声もあがっており、ある調査によると、20代の若者の75%が「ノーキッズゾーン」方針に賛成しているとの結果(YTN)も出ている。 韓国政府が恐れた通り、「子育て」はすでに若者の中で「ハンデ」としての位置づけになり始めているのかもしれない。  日本でも今秋、マナーの悪さを背景に、子連れ客の入店を断ることにしたカフェのツイッターが話題となった。  飲食店側のSNSによると、児童によって店内の障子が破られ、穴が開いた状態に。しかしさらに衝撃的だったのは、これに対して店側に保護者から報告や謝罪はなく、「何事もなかったかのように」店を後にしたこと。  店側は幼児による店内設備の破損と、その破損に対して保護者からの報告がないことが増えていることを理由にあげ、当面の間は未就学児連れの入店を拒否する姿勢を示した。  昨今、飲食店だけでなく、電車内や飛行機などでも、「子連れ」をめぐって様々な議論が飛び交っている。  満員電車でのベビーカー問題や、保育園建設に懸念される「騒音問題」など。乳幼児がぐずって周囲に「迷惑」をかけているととがめる人と、周囲に気を遣い疲れる親たち。  問われているのは、子どもの「幼さゆえの所為」ではなく、親や保護者のモラルであり、対応だ。双方が理解し合い、気持ちよく過ごせるような努力は、どの国にも必要なようだ。 <文・安達 夕 @yuu_adachi
Twitter:@yuu_adachi
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