オウムアムアが太陽系に接近した際の軌道の図 Image Credit: ESO/K. Meech et al.
オウムアムアの存在が確認されて以来、世界各地にある数多くの望遠鏡が、この天体に向けられた。ただ残念なことに、オウムアムアは発見された時点ですでに太陽や地球を通過して離れつつあり、それに追いすがるように、辛うじて観測できたにすぎない。
それでも、オウムアムアの特徴についていくつものことがわかっている。
たとえば組成は岩石や金属を多く含んでいて密度が高く、また表面は赤茶けた色をしており、これは長い間、宇宙線を浴びて風化したせいだと考えられている。ちなみに太陽系の外縁部にあるような天体も似た性質をもっている。
表面からはガスなどは噴出しておらず、いわゆる彗星のような活動的な天体ではなく、落ち着いた小惑星のような天体であることもわかっている。
そして天体の姿かたちは、直径約30m、全長180mほどの、ペンのような細長い形である可能性が高いという。
たんに楕円の球体をした細い小惑星というだけなら太陽系の中でもいくつか見つかっているが、これほどまでに細長いものは例がない。いったいどのような経緯でこのような形の天体ができたのか、まだ発見されていないだけで太陽系でも成立しうる形なのかなど、これだけでも大きな謎である。
もっとも、この形は望遠鏡で直接、確認されたわけではないことに注意が必要である。望遠鏡で形を見るにはすでに遠くに離れすぎているので、明るさの変化から推定するしかないためである。
オウムアムアは、明るくなったり暗くなったり、また明るくなったりを繰り返しており、これは天体が自転をしていると考えられる。そしてその明るさの変化の度合いも大きく、これは地球から横向きに見えるときには(表面積が大きいので光を多く反射して)明るく、前後方向が見えるときには(直径分の小さな面積しか見えないので)暗く見え、そして自転によってそれが繰り返されている、と考えれば説明がつく。
このことから、オウムアムアがペン型の天体だと考えるのは筋が通っている。
ただ、たとえば天体表面の物質が場所によって大きく異なっていれば、光の反射率も変わるため、同じように明るくなったり暗くなったりを繰り返すことになる。そのためペン型というのは、あくまで可能性のひとつと捉えるのが正しい。