音楽家の夢破れホームレスに。歯磨き粉で食事も……。異色の世界的デザイナーが「クラフトビール」に挑むワケ

車もビールもあまり好きではない

 自身のデザインの源泉ついて、知らないからこそ出てくる発想やアイデアを大事にしたいと語る片岡氏。 「ホイールデザイナーとして名を上げたのですが、実は車に全く興味がなくて、未だに車の名前もわかりません。ビールに関しても、そんなに好きじゃない。プライベートで飲む酒はだいたいバーボンです。ちょっと通風気味でもあるので」  固執しないからこそ、新たなチャレンジにも意欲的である。今は保育分野への取り組みに意欲を見せる。 「固執しないことが革新的なものを生み出すひとつ要素だと考えます。  今後は保育の分野にも携わっていこうと思います。とは言え、俺は子供が好きではないですし、レストランで走り回るような子がいたら『足でもかけてやろうか』と考えるひどい人間です。でもそんな俺だから、今までにない保育をロボットデザインを通じて追及して行けると思います。  これからも前例のない作品を世の中に提案していくだけです。もちろん、ビールに関してもさらにエッジを効かせていくつもりです」  かつて路上生活をしていた頃、雨風をしのごうと早稲田大学のキャンパスに忍び込んだが、警備員に蹴り出された苦い経験を持つ。そして昨年、その早稲田大学から講師として招かれ学生を前に講義をした。 「ゴミが星として戻ってきた。これも運命だと思ってます。講演活動に関しても、つい自分を出しすぎて下ネタばかりになることもありますが、それでも若い人たちが楽しんでくれて、俺を呼んでくれる限り続けたいです」  独自の感性が生み出す、奇抜かつ斬新なデザインは、今の時代に求められるものではなく、こちらから時代のスタイルを提案するものだと語る片岡氏。クラフトビール戦国時代に、次なる一手をどう打つのか目が離せない。 <取材・文/栗林 篤> 【栗林篤】 元IT企業のサラリーマン。年収300万円以下生活の傍ら、株式投資と不動産投資をはじめて、セミリタイアしてフリーライターに。優待株100超を保有、区分1貸家5アパート1を運用。公式ブログ「節約×株主優待×不動産投資でセミリタイアしたブログ 」更新中。著書『サラリーマンのままで副業1000万円』発売中
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会