当事者意識の欠如した北海道や沿線自治体……混迷するJR北海道の路線存廃問題

「日本一の秘境駅」である小幌駅  kazuotokumitu / PIXTA(ピクスタ)

「まずは自助努力が必要だ」--。

 10月29日の読売新聞の報道によれば、北海道の高橋はるみ知事は経営難に苦しみ赤字線区の見直しを進めるJR北海道に対してこう言い放ったという。

 JR北海道は昨年11月に保有する全路線の約半数に及ぶ『単独では維持することが困難な線区』を発表し、一部のバス転換や沿線自治体への運営コスト負担を求める協議を進めるとしてきた。今回の高橋知事の発言はこうした協議の過程のひとつで飛び出した。JR北海道の島田修社長と道の市長会・町村会の会長も出席したという。その席上で、高橋知事沿線自治体のコスト負担を“全否定”して“突き放す”発言をしたのである。

 以前から、JR北海道の赤字路線存廃問題については北海道の姿勢を疑問視する声が少なくなかった。鉄道業界に詳しいジャーナリストは、「道がイニシアチブを取らなければ何も始まらない」と手厳しい。

「沿線自治体とJRとの協議に任せていては何も進まない。道が旗振り役となって議論を進めることで最終的に不可欠と見られる国の支援にもつながるはず」

旗振り役から逃げる「道庁」

 しかし、今回の高橋知事の発言を聞く限り、イニシアチブを取る気は一切ないようだ。多少うがった見方をすれば、道は「赤字だろうがなんだろうがJRの責任で路線を維持しろ。自治体に負担を求めるなどまかりならん」ということ。コスト負担を嫌い、もちろん廃線も拒否する沿線自治体にとって、道は“心強い味方”になるのか……。だが、ある北海道の自治体関係者は「単なる逃げ腰」と切り捨てる。

「そんなことはありません。道の消極的な姿勢は、自らがお金を出すことになると困るから。旗振り役を演じて『地域で支える』といった姿勢を打ち出したら、間違いなく“道はいくら出すんだ”という話になる。北海道は財政破綻寸前の苦境ですから、財政負担につながる展開を最も嫌がっているのです」

 だが、肝心の沿線自治体とJR北海道の協議も思うように進んではいない。中にはJRサイドと協議の席に着くことすら拒否している自治体もあるという。こうした事情について、前出の自治体関係者は言う。

「自治体の立場で見れば、『じゃあお金を払います』とも『廃止にしましょう』とも言えるわけがないんです。財政負担も廃線も短期的に見れば地域には大きなマイナス。首長は選挙があるから、マイナスになるような方針を示すことはできません。そもそも財政負担するほどの“余力”もない自治体がほとんどですし。でも、実際には現状のままJR北海道任せでは路線維持が不可能だということは充分わかっている。最終的に国の支援でまとまれば……と様子見を続けているだけ。つまり、当事者であるJR北海道はともかく沿線自治体や道は土俵にあがってこの問題を真剣に考えようとはしていないんです」

 ただ、当然のことながら、こうした状況を招いた責任の多くは、1988年の国鉄分割民営化でJR北海道が発足して以降の経営にあることは疑いようのないところ。広大で人口希薄地帯が多く、さらに冬は雪に閉ざされるという北海道ならではの特殊事情もあるが、それでも不祥事や事故が相次ぐなどJR北海道のこれまでの経営姿勢には疑問が多いのも事実だ。

「ですが、鉄道の利用者が減少してきた背景には沿線自治体の姿勢もある」
 こう話すのは、別の自治体の関係者だ。

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