立憲民主党よ、胸を張れ! 胸を張り、リベラルを誇れ!

時代遅れの政治情勢から卒業せよ

 こうみると、日本だけが異質なのだ。日本だけがいまだに、東西冷戦華やかりし頃のような「サヨクは売国奴」「リベラルは害悪」という愚にもつかない紋切り型の言説がもてはやされ続けている。  列挙した各国は全て日本と同じ高度先進資本主義国だ。どの国でも、貧富の差の拡大など、「放っておけば政府の政策など関係なく自然と新自由主義化してしまう資本主義社会」という悩みを抱えている。  いささか単純化しすぎた図式ではあるが、その悩みを解消するために、どの国でも「いや、政府は小さくあるべきだ。レッセフェールだ。規制緩和だ。自由市場の意思に任せるべきだ」とする一派と、「人々が政府を形成する理由は徴税と再分配にある。格差是正のための再分配だ、貧困解消だ、富裕層増税だ、積極財政だ」とする一派が、議会内で対立し、審議を経て妥協案を生んでいくという政治風景が日常化している。  ひとり、我が日本だけが、この当たり前の光景からとおざかり、「リベラル虐殺」など30年も時代遅れの古い芸当を未だにやりつづけているのだ。 立憲民主党  そろそろ日本もこうした時代遅れの政治情勢から卒業せねばならない。  立憲民主党が、「リベラル虐殺」の血しぶき溢れる現場からうまれたのだとするのならば、立憲民主党には、正々堂々と「リベラル政党」としての地歩を確立し、より深化していってもらいたい。外野からの批判は大きかろう。賢しらだった連中は「自民党をみよ、自民党はナショナルパーティーとして、清和会的な極右路線から、宏池会のような中道左派路線とワイドレンジな陣容だから、政権を維持できるのだ」などと忠告して来るかもしれない。それらはすべて嘘だ。自民党は民主党政権下の野党時代、「純化路線」を採用した。もはや「清和会的なもの」しかのこっていない。  純化路線を採用した自由民主党がここまで支持を維持できるのだから、純化路線に恥じらうことはない。正々堂々と「リベラル純化路線」を進めばいい。その方が、有権者には綺麗な政治メニューの提示となって、主権者には好都合でさえある。  立憲民主党よ、胸を張れ。胸をはってリベラルだと叫べ。それが世界水準であり、そしてなにより我が国の民主主義のためだ。  再度言う。  立憲民主党よ、胸を張れ。リベラルであることに誇りをもて! <文/HBO取材班 撮影/織田曜一郎>
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