立憲民主党よ、胸を張れ! 胸を張り、リベラルを誇れ!

 行き場を失ったのは「安倍政権を支持しない」という声を投票行動で示そうとしていた有権者たちだ。なにせ安倍政権の支持率は39%止まり。不支持率の方が高いという傾向がいまだに続いている。調子付いて希望の党が自滅したことは、この「安倍政権不支持者」たちを路頭に迷わせる結果となった。  立憲民主党の躍進はこうした「路頭に放り出された安倍政権不支持者たち」をすくい上げる効果があった………。と、考えると、なるほど、筋が通る。主要全国紙は軒並みその論調で「立憲民主の躍進」を解説している。  希望の党の醜い自滅後、路頭に迷った安倍政権不支持の有権者たちは、安倍政権に鋭角に対立する立憲民主に一縷の光明を見たのだと。そしてそうした有権者たちはその光明に縋ったのだと主要各紙はいうのだ。  しかし果たしてそれだけだろうか?立憲民主党が有権者に魅力的に映るのは「安倍政権を支持しない人々の受け皿」としてのみなのだろうか?

リベラル虐殺の血しぶきの中から立ちあがった立憲民主党

 小池百合子が満天下のアイドルとして振舞っていた9月末のあの時期、小池は明確に、「(民進党リベラルは)排除します」と言明した。早くに民進党を離党し小池百合子と野合した細野豪志は『文藝春秋』11月号に掲載された「希望の党は選挙互助会ではない」というインタビュー記事で、「民進党時代、皆で建設的な憲法改正の議論が堂々とできなかったことは大変辛かった」「保守の部分が大事」と語り、暗に「民進党リベラルが邪魔だった」と表明している。  小池百合子の増長満が頂点にたっしていたあの9月末、日本全国の有権者の前で繰り広げられた政治劇は、「小池百合子による、リベラル虐殺」としかいいようのないものだったのだ。  枝野幸男と彼を中心として活動する立憲民主党の面々は、その虐殺の血しぶきの中かから生まれた。周囲には、小池によって政治生命を絶たれたもの、次は自分かと戦々恐々とするもの、虐殺の被害者になるぐらいならば加害者にまわろうと画策するものなどが蠢く陰惨たる風景のなかで、立憲民主党というまことにか細くひ弱な政党は産声をあげ、その一歩を踏み出した。  その誕生の瞬間から、立憲民主党は「虐殺の現場から生きて帰ってきた被害者代表」という立場を宿命づけられているのだ。そして虐殺の加害者である小池百合子、細野豪志、前原誠司などの一派が、虐殺の対象を「リベラル」と指呼するのであれば、立憲民主党がその誕生から代表するように宿命づけられているものも「リベラル」でしかありえない。  だとすると。  現在の情勢調査で、希望の党の政党支持率を抜き、自由民主党の支持率に次ぐ高支持率を確保している立憲民主党なる政党は、仮令その支持率の高さが「希望の自滅で行き場を失った安倍政権不支持者の流入」によって齎されたものであっても、堂々たる「リベラル政党」であるという点は変わらない。原因がなんであれ「リベラル政党が一定数の支持を集めている」ということには、変わりはないはずだ。  こう書くと、「そんなことはない。リベラルなど支持が集まるはずがないではないか」という反論が来るのが今の日本。とりわけ本稿が掲載されるウェブメディアという種類のメディアが属する「ネット言論界隈」は、未だに時代遅れの「リベラル弄り芸」が流行っている界隈だから、そうした声がよせられるのだろう。  井の中の蛙、大海を知らずとはこのこと。  世界を見よ。先進国と呼ばれる国では軒並み、「リベラル」(確かにこの言葉は使われる国によって大幅にコノテーションが変化する言葉ではあるが)と呼ばれ、あるいは自称する政治勢力が、国政で大きなプレゼンスを示しているではないか。  イギリスでは、ジェレミーコービン率いる労働党が、いまにも保守党政権を覆しそうな勢いである。先頃行われた議会選挙で、極右政党の躍進が伝えられたドイツでさえも、その名の通り社会民主主義政党であるドイツ社会民主党が堂々たる議会内第二党の地位をしめている。  マクロン大統領率いる「共和国前進」(この政党はある意味、小池新党のようではある)の大躍進が記憶に新しいフランスでも、フランス社会党は未だに重要な地位をしめているではないか。  英独仏の事例としてあげた3党はいずれも社会主義インターナショナルに所属するような政党である。ちなみに我が国で社会主義インターナショナルに加盟しているのは社民党のみであり、福島瑞穂は一時期社会主義インターナショナルの副議長を務めていた。日本では政界の異端児扱いの福島瑞穂も、世界標準からみればごく普通の政治家ということになろう。  カナダの自由党は、社会主義インターナショナルに加盟するはずもない政党ではあるが、党首であり首相のトルドー氏は極めてリベラルな政治姿勢で知られる。トランプ大統領の排外主義的で乱暴な言動ばかりが取りざたされるアメリカでも、つい昨年の大統領選で、バーニーサンダース氏が大健闘をした記憶は新しい。
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先進国で日本だけが異質な状況
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