また、九州を一度離れた選手が戻ってきて「Uターン入団」することが多いのも九州プロレスの特徴だ。東京や大阪などで活動していたが、所属団体の活動休止、家庭の事情などで帰郷した選手が新たなプロレス人生を九州プロレスで始めているのだ。 　多種多様な経歴をもつ選手が多いこともあり、九州プロレスの試合のレベルは極めて高く、内容は楽しいものから激しいものまで幅広い。近ごろは生え抜き選手もデビューし、陣容は少しずつだが厚くなっている。 　そして、九州プロレスは社会貢献活動も積極的におこなっている。各種福祉施設への慰問、保育園や幼稚園での交流はもちろん、人口数百人の離島で無料大会を開催したこともある。 　青少年健全育成も重要視しており、中高生不登校児のためのフリースクールで選手がプロレスを教えている。体づくりはもちろん、受け身や技もしっかり学ばせる授業としてのプロレスだ。 　卒業時には子どもたちが保護者の前で、リングを使い卒業試合をする。子どもたちは試合に出場するだけでなく、レフェリーや音響まで手分けして担当する。子どもたちはイベント運営を通じ、協力することの大切さを身をもって学び、それぞれの道へ巣立ち、九州の未来を支えていく。NPO法人プロレス団体だからこそできる素晴らしい取り組みだ。 　九州プロレスは、2018年7月7日に福岡国際センターでの10周年大会を予定している。大相撲も開催される大会場だ。機会があればぜひ会場で観戦してほしい。きっと元気いっぱいで家路につけることだろう。 ＜文・たこやきマシン＞ 【たこ焼きマシン】 名古屋在住のローカルプロレス探求家。ローカルプロレスファンサイトたこ焼きマシン.com、スーパーたこ焼きマシン.comを運営。北海道から沖縄、台湾まで未知のプロレスを求め観戦に遠征する。ご当地プロレスラーガイドブック『ローカルプロレスラー図鑑』をクラウドファンディングで発行。オンラインストア。元・小中学校教員、障害者職業能力開発校講師。夢は世界中すべてのご当地プロレスを観戦しての『ワールドローカルプロレスラー図鑑』制作。