photo East & West / PIXTA(ピクスタ)
ビジネスパーソンにとって、リーダーシップ実践力は常に問われる課題だ。しかし、組織が大きくなればなるほど、特にグローバル企業において、そうしたビジネススキルを発揮できない日本人のビジネスパーソンも少なくない。
その差はどこから来るのか? そしてどのようなビジネススキルが必要なのだろうか?
豊富なグローバル経験を有し、財務、経理の観点から合併企業の経営を担ってきたJA三井リース株式会社常務執行役員・宮本和典氏を迎えて、分解スキル反復演習型能力開発プログラムの開発者でありトレーナーである山口博氏がグループ経営の中でのビジネスパーソンのあり方について聞いてみた。
山口:ビジネスパーソンにとって、リーダーシップ実践力は常に問われる課題です。しかし、わが国ビジネスパーソンのビジネススキルは、欧米のビジネスパーソンに比べて、大きく劣後しているように思えてなりません。大手商社で長く管理部門で活躍され、ニューヨーク駐在も勤めた経験をふまえたお立場としては、どのようにご覧になりますか?
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JA三井リース株式会社常務執行役員・宮本和典氏
宮本:日米のビジネスパーソンのスキルで、最も大きな差を感じたのは、プレゼンテーション能力ですね。20年程前の話になりますが、米国アトランタから小型飛行機で40分ほど飛んだ場所にあるローカル企業で非常勤役員を務めたことがあります。四半期毎の役員会で、担当部長から業務報告を受けるのですが、実に魅力的なプレゼンテーションだったことを今でも鮮明に覚えています。資料の作りにも、表現にも、立ち居振る舞いにも、構成の妙にも惹き付けられました。
日本では、今でもパワーポイントの機能を活用している人が多くありません。また、レーザーポインタで頁送りすることもさほど普及していません。そして、会場の片隅で座ったまま説明する光景もよく見かけます。
山口:日本のビジネスパーソンのプレゼンテーションスキルは、米国に比べて20年以上遅れていると言えるかもしれませんね。確かに、レーザーポインタを使う人さえまだ少なく、別の人に頁を送らせて、「次の頁」「次の頁」と単調な合図が入って眠くなってしまったりすることもあります。
プレゼンテーションスキルの例ひとつとってみても、プロフェッショナルと言われる職種の中で、日本のビジネスパーソンだけが、いつの間にかスキル訓練を怠ってきたのではないかと思えてなりません。
宮本:永年勤続を前提とした日本と、自らが仕事やポジションを求めてキャリアアップを実現する為に、人材が流動的に移動している海外との違いは大きいのだと思います。
考えてみれば、従来、日本のビジネスパーソンのスキル向上は、所属企業の中で必要とされる知識やスキルに主眼がおかれる傾向が強かったのではないでしょうか。一方、海外のビジネスパーソンの場合は、所属組織での必要性にかかわらず、自らが実現したいと考えている仕事やポジションに必要なスキルの修得や経験の蓄積に意欲的だといえます。