かつて「スーパーひたち」として運用に就いていた651系11連。(仙台市内で2010年撮影)
東日本大震災で大きな被害を受けながらも、線路移設などをおこない不死鳥のように復旧を遂げつつあるJR常磐線。
何かと話題の多い同線に、今度は「常磐線の顔」として親しまれていた「タキシードボディーのスゴイやつ」が普通列車となって帰ってくる。
JR東日本が、長年に亘って特急「スーパーひたち」として親しまれた白とグレーの651系交直流電車を、7月22日より福島県内のJR常磐線で普通列車として運行再開することを発表したのだ。
2015年に常磐線から姿を消していた「タキシードボディーのスゴイやつ」
651系はバブル真っただ中の1989年3月に特急「スーパーひたち」」(上野-いわき-仙台間)の専用車両としてデビューした。登場時のキャッチフレーズは「タキシードボディーのスゴイやつ」で、白いボディにLEDのヘッドマークを装備した姿は国鉄型車両ばかりであった常磐線において大きな存在感を発揮。のちに登場するE653系の「フレッシュひたち」(上野-土浦間など)とともに、長きに亘って常磐線の中・長距離旅客輸送を支えた。
しかし、東日本大震災の発生により福島・宮城県内の常磐線が広範囲に亘って不通になると、651系の運行区間は上野-いわきまでに短縮。さらに、2013年3月のダイヤ改正により常磐線特急列車の運用がE657系に置き換えられると、スーパーひたち運用から退いた651系車両の一部は直流区間特化型の「651系1000番代」に改造。改造された車両は2014年3月から「スワローあかぎ」などの高崎線特急列車、2016年7月から小田原-伊豆急下田間の観光列車「伊豆クレイル」として運行を開始するなど活躍の場を広げた。
一方で、古巣の常磐線での活躍範囲は狭まり、2015年3月を以て完全に姿を消していた。