den-sen / PIXTA(ピクスタ)
コーチングを実践するための話法は、身に付けたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを反復演習する「分解スキル反復演習型能力開発プログラム」により体得できる(
第40回参照)。
これにより、極論すれば、仮にコーチング理論をすべて理解していなかったとしても、コーチング話法を実践できることになる。コーチング理論を頭で理解していても、コーチング実践ができない人と、コーチング理論を理解していなくても、コーチング実践ができる人とで、どちらがコーチング実践のパフォーマンスが高いかといえば、明らかに後者である。
20年来の演習経験をふまえれば、わが国のビジネスパーソンでコーチング理論を学習した人は多くても、コーチング実践ができる人は極めて限られていると言わざるを得ない。今からでも遅くはない。コーチング話法を繰り出すことを身に付ければ、企業や団体内でコーチングを駆使し、メンバーを巻き込むことができる、さらに価値を発揮する存在になれるのだ。
私は、マネジメントにおけるコーチングとは、マネジャーがメンバーに対して、命令したり押し付けたりしないで、マネジャーとメンバーがお互いの考え方をすり合わせて、方向性の合意をしながら、仕事を進めることをサポートするものだと考えている。
マネジメントにおけるコーチングを実践するスキルを分解していくと、マネジャーが
業績などの事実を把握すること、マネジャーが
解決策の仮説を立てること、マネジャーとメンバーとで
方向性のすり合わせをすること、マネジャーとメンバーとで
方向性の合意を形成することに分解すると習得がしやすい。
さらに分解していくと、事実の把握には
固定観念の排除が、仮説を立てるためには
柔軟思考が必要であることがわかってきた。そして、方向性のすり合わせのためには質問のスキルが、合意を形成するためには
懸念解消のスキルが必要であることがわかってきた。