固定観念の排除は、いくら固定観念の排除をしよう、固定観念があるとこのような弊害があるという解説をしても、実現しにくい。さまざまな方法を試してきたが、私が実践した中で、最も効果のある方法は、簡単な評価者訓練を活用して、自分自身の評価結果が甘いのか辛いのか、どのような偏りがあるのかを、ほかならぬ自分自身で実感する方法だ。
このように申し上げると、「今から評価者訓練のプログラムを開発したり実施したりすることを考えると気が遠くなる」という声を聴くことがあるが、難しい評価者訓練を開発する必要はない。むしろ、簡単な評価者訓練の方がよい。その方が身に付きやすいのだ。
固定観念の排除のプログラムは、次の6セッションからなる。20人のマネジャーが参加する例だ。
・第一セッション:営業管理部門が作成した前月の活動実績と営業成果の資料と、本人が作成した活動・営業報告書、10メンバー分のサンプルを読み込む。
・10メンバー各々について、5段階で総合評価する
・20人のマネジャーが、各々の評価結果を共有し、平均値を出す
・平均値に対する、自分の結果の乖離幅と、乖離した個所の確認をする
・固定観念に陥りやすい傾向の簡単な解説を聞き、自身がどのような傾向があるか、自分の認識を確認する
・再度、10メンバーのサンプルを評価し直す
6つのセッションは、各々が15分で、計90分、集中的に演習を行う。冒頭のセットアップや事前スキルチェック、最後のラップアップや事後スキルチェックを含めて、1プログラム120分で実施する。