ニュージーランド発!超小型のロケットが拓く、新たな宇宙利用の可能性

打ち上げ準備中のエレクトロン Image Credit: Rocket Lab

先進技術満載の超小型ロケット「エレクトロン」

 エレクトロンは製造に3Dプリンターを使ったり、機体にカーボン素材を多用するなど、他のロケットよりも一歩進んだ先進的な技術を採用している。そして最も大きな特徴は、その小ささにある。  たとえば日本のH-IIAや、イーロン・マスク氏率いるスペースXが開発したファルコン9といった他のロケットは、地球を回る軌道に数トンの人工衛星を打ち上げられる能力をもつ。中には「小型ロケット」に分類されるロケットもあるが、それでも1トンから数百kg程度の打ち上げ能力がある。  しかしエレクトロンは、同じ軌道にわずか150kgほど、つまり10分の1以下の打ち上げ能力しかない、小型ロケットよりもさらに小さな「超小型ロケット」なのである。もちろん大きさも小さく、高層ビルほどの高さがある大型ロケットに比べ、エレクトロンの全長は17mと、電柱くらいしかない。  エレクトロンのような小さなロケットが開発された背景には、小さな人工衛星の普及がある。  かつて人工衛星というと、小さいものでも数百kgから数トンもあるものが多かった。しかし近年、電子部品の小型化、高性能化などによって、わずか数kgから数十kgでも、立派な人工衛星を造ることができるようになった。また、衛星の規模が小さいということは開発に必要なコストも安価になることから、これまで宇宙開発にかかわりのなかった企業やベンチャー企業、さらには大学や高校まで開発できるようになった。  さらに、こうした小さな衛星を何十機、あるいは何百機と打ち上げて、編隊を組ませることで、大きな衛星ではできないような地球観測や通信のサービスも展開できる。たとえば昨年、ソフトバンクが10億ドルを出資したことで話題になった「ワンウェブ」は、まさに150kgほどの小型衛星を多数打ち上げて、全世界にインターネットを提供しようという構想である。  しかし、こうした小型・超小型衛星の発展を妨げる。ある大きな問題があった。打ち上げの手段が限られているということである。
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ロケットの世界では「大は小を兼ねない」
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