ニュージーランド発!超小型のロケットが拓く、新たな宇宙利用の可能性

鳥嶋真也

ニュージーランド発のロケット会社が開発したエレクトロンの打ち上げ。失敗に終わったものの、初の試験打ち上げとしては十分な成果をあげた Image Credit: Rocket Lab

 5月25日の13時20分(日本時間)、ニュージーランドから、1機の黒く小さなロケットが打ち上げられた。

「エレクトロン」と名づけられたそのロケットは、小型ながらもさまざまな新技術を取り入れた先進的な機体で、これが初めての打ち上げだった。

 エレクトロンは大空を轟音とともに駆け上がり、約3分後に宇宙空間に到達。その後、なんらかの問題が発生し、地球を回る軌道に乗ることはできなかったものの、新型ロケットの初の試験打ち上げとしては、十分及第点といえる大きな成果をあげた。同社は今年、さらに2回の打ち上げに挑み、完全な成功を目指す。

 このエレクトロンというロケットは、その小ささこそが最大の特徴であり、今後開発が順調に進み、予定どおりの性能や価格で市場に投入されれば、宇宙産業を大きく変革させるほどの可能性をもっている。

ニュージーランド発のロケット開発会社「ロケット・ラボ」

 エレクトロンを開発したのは、米国に本社を置く「ロケット・ラボ」(Rocket Lab)という会社である。従業員数は100人ほどながら、ロケットの開発、製造、そして打ち上げまで、すべて一貫して自社内でおこなっている。

 同社は2006年に、ニュージーランド出身のロケット科学者であるピーター・ベック氏や、IT事業家で投資家のマーク・ロケット氏らによって設立された。ロケット氏、という名前はもちろん偶然ではなく、熱狂的なロケット好きであったために自分の名前を改名したという逸話をもつ(ただしロケット氏は現在、同社を離れている)。

 発祥も、ロケットの製造や打ち上げといった活動の拠点もニュージーランドに置いているにもかかわらず、本社を米国に置いている理由については、詳しく語られたことはない。ただ、米国には(宇宙分野に限らず)ベンチャーを育てる制度や風土があり、実際に同社も、米国防総省や米国航空宇宙局(NASA)などと開発契約を結んだり、資金提供を受けたりしている。

 また、ロケットの打ち上げにおいて必要になる認可や手続きも、経験豊かな米連邦航空局(FAA)のサポートがあることもあって、ニュージーランドの中に固執するよりは、米国企業として活動するほうが宇宙を目指しやすい、という利点があったためだろう。

 2009年には小型の観測ロケットを開発し、宇宙まで打ち上げている。その後、前述のように米国防総省からの資金を得て、ロケット・エンジンの開発や試験を実施。やがて人工衛星を打ち上げられる能力をもったエレクトロンの開発に着手し、米国航空宇宙局(NASA)からの資金提供や、いくつもの投資家からの投資を受けるなどして、約4年をかけて開発を続けてきた。

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小さくても先端技術満載の「エレクトロン」

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