米国も参加するアマゾン地帯の軍事演習「AMAZONLOG2017」の特設サイト
トランプ大統領は大統領選挙中から「America first」を唱え、保護主義を先鋭化させるように思えた。米国の裏庭にあたる中南米との関係もその伸展に関心を示さないように見えた。
その具体例としては、中南米の玄関であるメキシコと結んでいる北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しをすると主張していることなどが挙げられる。メキシコからの輸入で米国はこれまで損害を被って来たというのが理由だという。その是正策として、メキシコからの輸入に20%以上の関税を設けるといった発言をしていた。中南米諸国にとって、メキシコはアングロサクソン系の北米を前に、ラテンアメリカの最前線という意識を持っている。そのメキシコを差別しようとするトランプ大統領の姿勢に中南米諸国は不快感を抱くのも無理からぬことであった。
それを上手く利用して中南米における存在感を益々強めているのが中国である。同様に、ロシアも武器の販売や南米の食料の輸入などで取引関係が成長している。特に、武器に関しては、中南米の国々でロシア兵器への関心は次第に強まっている。
この様な状況の中で、米国の中南米における存在感が薄れて行くのではないかと想像されるのであるが、実際にはそうではないのである。米国は軍事面から中南米での影響力を維持して行こうとする構えなのである。
中南米には米国の軍事基地がおよそ80あるという。かつて、ブッシュJR.大統領の政権時に、中南米での米国の影響力を増大させようと米州自由貿易地域(ALCA)の創設を提唱した。NAFTAを延長したような関係である。しかし、当時の中南米ではベネズエラの反米主義者チャベス大統領の影響力が強く、しかも彼の音頭で米国抜きの南米防衛評議会も創設されて、ALCAの創設を潰すことに成功した。
しかし、今はチャベスは他界し、ベネズエラは極度の経済危機で中南米に与えていたかつての影響力はない。
そこで、米国はオバマ大統領の政権時から軍事力を通しての中南米での影響力の回復であった。その為に第一条件としたのが、米国に忠実な政権を誕生させることである。その為の資金などは背後から提供するというものだ。
その戦略に上手く乗ったのが南米の大国アルゼンチンとブラジルである。