米国はそれ以外にペルーでは9か所、コロンビアでは7か所とそれぞれ米軍基地を持っている。ペルーに基地が多いのは、エクアドルがチャベスの反米主義に同じく共鳴したコレアが大統領になって、同国にあった唯一の米軍基地を撤去させたために、隣国のペルーの存在がより重要になった為である。
更に、チリ、パラグアイそして中米にもパナマやホンジュラス、コスタリカなどにも米軍基地が設置されている。
中国は商業面で中南米での存在感を益々強めているが、軍事面までの支配は米国には到底及ばない。しかし、中国もロシアと同様に武器の南米への輸出は徐々に増加させている。
トランプ大統領も、現在は「ロシアゲート疑惑」でその立ち位置が危うくなっているが、中南米をコントロールしていくという方針は今までの大統領同様維持していくようだ。
中南米を舞台に密かに繰り広げられる米中ロによる軍事覇権争いは、今後いっそうの激化を見せそうである。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。