サウジが推進役となって「イスラムNATO」の創設に向かっているとの噂が浮上

Photo By: Corporal Jonathan R. Waldman (Public Domain)

 サウジアラビア(以後:サウジ)をリーダーとして中東で「イスラムNATO」を創設する計画があるという。その構想はオバマ大統領の政権時の2015年にペンタゴンによって提唱されていた。アラブ連盟を軸に北アフリカから中東地域の国々が独自の軍隊をもつことである。それを米国が背後から支援するというものである。(参照:「Arabia Watch」)  この構想の推進役となったのがサウジである。その目的はイスラム圏の39か国を加盟国として、テロとの戦いを主な任務とするとしている。しかし、テロを陰では支援しているサウジがテロとの戦いを創設目的とするのは嘲笑を買うものだという見方をする向きも少なくない。 「イスラムNATO」の実際の狙いはイランに対抗する防衛組織を築くことである。実際、イランはシリア、イラクそしてレバノンから、更にイエメンに勢力を広げている。それが容易になったのも、オバマ前大統領がシリアに対してレッドラインという警告を行っていたが、それを無視されても軍事介入を控えたこと。そして、イランとの核合意である。それによって、イランの中東での勢力拡大を容易にした。しかも、イランの背後にはロシアと中国が控えている。  イランを宿敵と見做すサウジにとって、それに対抗するにはヨーロッパにおけるNATOのような軍事組織が必要であるということを切に感じていたようである。また、それをサウジに奨励したのは同じくイランを宿敵としているイスラエルであった。  イスラエルとサウジが主軸になっての「イスラムNATO」の創設だと、アラブ諸国の中で今もイスラエルを敵として見ている国もある。その為、イスラエルは「イスラムNATO」に直接加わるのではなく、軍事情報の提供や軍事技術レベルの向上に協力するとしている。(参照:「Argentina Today」)
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