サウジは広告やそのマーケティングにおいて世界で最も規模の大きいバーソン・マーステラーと3月に契約した。これは、「イスラムNATO」の誕生を正当化させ、それを奨励させるためである。
サウジ、湾岸諸国、ヨルダンなどはイランに対抗できる軍事組織の育成を望んでいるが、パキスタン、トルコそして北アフリカで参加を希望している国々においてはイランを敵と見做す以上にテロとの戦いに主眼を置いているといった背景もあり、この軍事組織の活動を一つのまとまったものに纏めるのは容易ではないとされている。
北大西洋条約機構(NATO)そのものも嘗てのソ連と東欧の共産主義からの軍事防衛という意味での創設の主旨から現在では安全保障という命題を前面に出してテロリズムとの戦いもNATOの任務の一つとされている。その意味で、NATOは中東及びアジアでのパートナーシップの確率を目指している。日本は既にNATOとパートナーシップの関係を結んでいる。中東はパートナーシップに参加する前に、中東でNATOに代わる軍事組織を構築しようというものなのである。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。