サウジが推進役となって「イスラムNATO」の創設に向かっているとの噂が浮上

巻き込まれる国は?

 推進役のサウジが加盟国として必ず加えたいとしているのがトルコ、パキスタン、エジプトである。特に、トルコとパキスタンの参加無くして「イスラムNATO」の発展はないとサウジは見ているという。両国とも軍事力があり、しかもパキスタンは核保有国である。  トルコはNATOに加盟しているが、エルドアン大統領はNATOでのトルコの存在価値は薄く見られているというのを感じており、中東における影響力の拡大という意味で、サウジとパートナーを組むことには関心を示しているという。  一方のパキスタンはサウジから事前の相談もなく加盟国として加えられたようだ。パキスタンは国境をイランと接しており、イランからの原油のパイプラインの建設そしてイランと関係の強い中国からこれまで色々と支援金の援助を受けているという関係から「イスラムNATO」に加盟することには十分に納得できないでいる。しかも、パキスタン人の20%はシーア派である。参加するというのであれば、「イスラムNATO」がインドと対抗できるものであるということも望んでいるという。ただ、パキスタンで核開発が可能となったのもサウジからの資金援助があったからであるというのはパキスタンは充分に承知している。  さらに、サウジはパキスタンのラフィール・シャリフ(Raheel Sharif)退役将軍を「イスラムNATO」の司令官に任命したいと望んでいるが、その任を引き受けるにはイランを加盟国に加えることを条件しているという。それはサウジや湾岸諸国においては当然受け入れられない要望である。  また、エジプトも軍事力を持っており参加が必要とされている国である。現在のエジプトの財政事情は非常に悪く、サウジの資金支援無くしてシシ大統領の政権維持は難しい。それを充分に承知しているシシ大統領はエジプトの参加は否定できない立場にある。
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