環境・資源・社会の危機を救う、新たな“脱成長”の経済学「自然資本経営」とは!?

自然資本には、経済学が捨て去った「人間性」も含まれる

――「自然資本」の定義とは何ですか? 谷口:経済学では、いまだはっきりした定義はなされていません。私は、人工物と労働力としての「人的資本」以外のすべてと考えています。地球上の生物圏にあるものと地殻にあるもの。前者は「環境」、後者は「資源」と呼ぶこともできると思います。水、土地、土壌はもちろん、地球の大気圏にある風力や太陽光といったものも自然資本とみなしてよいと思います。そしてもう一つ重要な自然資本として、シューマッハーのいう「人間性」(human substance)とその文化・伝統・精神性を、生物圏の中の一員として加えたいのです。これらは、経済成長ばかりを目指すいまの主流派経済学からは「価値のないもの」として無視されてきました。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=137494

主流派経済学者はいまだに経済成長を煽り立てている

――谷口さんはその自然資本の消耗を、これまで現場で見続けてきたわけですね。 谷口:資源採取の現場で破壊される環境、その土地の住民あるいは先住民族の伝統文化や人権問題等、もういやというほど見てきています。これからは、人類の貴重な生命維持装置である自然資本を無制限に消耗して人工資本に変えてしまうのではなく、賢く利用しなければなりません。すなわち自然資本の“経営”を行い、ストックを「富」として殖やしていかなければならない時代にきています。  自然資本経営を行うということは「これまでの物質主義、成長至上主義の消費拡大文明から脱出する」ということです。つまり、産業革命以降約300年続いてきた古典的な産業資本主義、そして近現代の金融帝国主義やマネー資本主義から脱却しようということなのです。  それにもかかわらず、世界を支配している主流派経済学者はいまだに自然資本(資源と環境)ストック(資産)の有限性を認めようとしません。それどころか、いまだに「経済成長が必要だ」と煽りたてています。そこには「将来世代のための持続可能な消費」などという考え方はまったくない。「脱成長」こそ自然資本経営の目的ですが、世界を支配している経済学中心主義・経済発展主義そして進歩史観を生み出す全体主義によって阻まれているのです。
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経済学が世界を殺す

このまま信じていたら人類は滅亡する!

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