スポーツイベントのために作られた白頭文化交流社の応援旗
マイケル氏の日本での講演は昨年に続く2回目だったのだが、昨年の30人よりも大幅に増えたのは、昨今の北朝鮮情勢が緊迫していることや、白頭文化交流社主催である人物へ会いにいくツアーが近々実施されることも集客を増やした要因となったのだろう。
4月15日、北朝鮮最大の祝日である「太陽節」(金日成主席の生誕日)に合わせて実施される「ファインディング イン 金日成主席生誕105周年記念祭」という4泊5日のツアー内で、金正日総書記の料理人として知られる藤本健二氏の「日本料理たかはし」を訪れ食事をするプログラムが組まれているからだ。
藤本健二氏も外国人では数少ない金正恩党委員長と会うことができる人物であり、今年1月に平壌で日本料理店をオープンし、2月中旬にニュースで大きく報じられたので記憶にある人もいるだろう。
このツアーには、日本人の参加予定もあり、ツアー日程を見ると、太陽節の記念行事観覧や花火大会の観賞、平壌市民とのダンスパーティー、有名シェフによる北朝鮮料理教室などユニークなイベントが多いが、特に藤本氏の店へ行くことや日本人も参加することでより注目を集めたものと思われる。
今回のマイケル氏の講演会を主催したのは、「千里馬エクスチェンジ」代表のエミル・トルシュコフスキ氏だ。(参照:
北朝鮮通のシンガポール人が来日。国内外の北朝鮮マニアが集うイベントに潜入!)
「マイケルさんの話は、日本が北朝鮮との関係をどう変えていくのかの1つのヒントになるのではないでしょうか。政治を抜きにして文化、スポーツ交流やビジネスなどを通して両国が少しでも近づける可能性があるのではないか?ということを考えてもらえる機会になればと思っています」とエミル氏は今回の講演会の狙いについて話す。残念ながら講演で話された内容は非公開なのだが、集まった観客は一様に満足していた。
事実、日本と北朝鮮には数多くの問題が山積している。しかし、この11年闇雲に力による経済制裁を実施し続けてもあまり効果がないと分かってきた以上、民間レベルで北朝鮮との交流を増やすことは、諸問題解決の近道になるやもしれないし、もしかすると日本にとって安全保障上の抑止力として働くことも期待できるのではないだろうか。
講演後は希望者との写真撮影などに気軽に応じていたマイケル氏
取材協力
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Paektu Cultrual Exchange(白頭文化交流社)
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千里馬エクスチェンジ
<取材・文/中野 鷹>